広がるテレワーク ワークスペース確保に高まる関心
リフォームとリノベーションを手掛けるSAWAI建築工房(本社・札幌)は、アフターコロナに向けて住みやすさと働きやすさを両立した住まいづくりを提案している。テレワークが広まり自宅で過ごす時間が増えたことで顧客ニーズが変化。集中しやすい書斎といったワークスペースの確保や自宅で楽しめる趣味の空間、広い庭などへの関心が高まっているという。
書斎は予算やスペースの都合で削られることが多かったが、外出自粛が続いたことで優先順位が上がった。子育て世代や小さい孫がいるシニア世代向けには公園に行かず遊べる子ども用の滑り台などの設置スペースを盛り込む。
近年は手間が掛かる庭や畑がなく交通アクセスの良いマンションへ住み替える傾向にあったが、自然が豊かで広い庭のある戸建てを再検討する動きがある。
共働きであればワークスペースの距離をあけてパーティションで区切るなど作業に集中できる空間を提案する。
自宅で仕事の打ち合わせが多い場合は来客用の部屋があると便利だ。プライバシーに配慮して出入り口付近への配置を勧めている。
玄関は非接触の自動水栓を採用した洗面台のニーズの高まりが期待される。帰宅してすぐに手洗いやうがいができれば電気のスイッチやドアノブを汚い手で触らずに済む。洗面化粧台にすれば出掛ける前に、その場で身だしなみを整えることができて安心だ。
各所で導入が増えている飛まつ感染防止用のパーティションは木目調などを組み合わせて空間に調和させた。使う人の不安を和らげる自然な形で感染症対策を取り入れた。
在宅勤務の共働き夫婦や二世帯で住む大家族は、一度に複数人がキッチンに立つため、広めの調理スペースを確保し、家族と安全に食事ができるよう工夫している。
コロナ禍で急に料理の頻度が増えた主婦を中心にキッチンの壁貼り替えなど、工期が短く小規模なリフォームの電話相談が増加。壁はシックハウスの心配がない塗り壁、床は掃除がしやすい機能性の高い素材と健康志向から自然な風合いの木材が人気だという。
以前から希望が多かった防音室など趣味用の部屋は、近隣住民との良好な関係を保ちながら長く住み続ける上で欠かせない。
榎又円香営業主任は「利便性だけにとらわれないアフターコロナを見据えた住まいの提案が大切」と話している。
(北海道建設新聞2020年8月6日付3面より)