テレワーク導入支援も始める
EZOTEC(本社・札幌)は3Kや人手不足といった廃棄物処理業界の課題を、人工知能(AI)やIoTなどの技術で解決しようと考えるシステム開発会社だ。資源リサイクル業の鈴木商会(同)100%子会社で、2020年1月に設立した。〝タイム is 資源〟をキャッチフレーズに、業務の自動・無人化によって効率化を図ろうと提案している。
使わなくなった家電や車、建築廃材などのリサイクル業務のうち、金属や非金属の選別は経験が必要で、熟練者の目が物を言う。使わなくなったパーツをガス溶断したり、ヤードに置かれた鉄スクラップの山を計測するのも仕事。体力が求められ、危険と隣り合わせのハードな仕事だ。
EZOTECはこうした資源リサイクル業の3Kを解消するためにつくられた会社。スタッフ7人で事業に当たり、AIによる画像解析やIoTを使った装置の自動化などを模索している。
これまで鉄スクラップの在庫管理は面積と高さを測り、おおよその数量を計算し、把握してきた。ドローンによるレーザー測量を用いれば正確な在庫管理ができ、財務面でも効果を出せる。
近年の自動車は多種多様な上、材料の使い方などが複雑で、解体してリサイクルする側にとってはハードルが高い。AIのディープラーニングを用いれば分別ノウハウを蓄積可能で、オペレーターの作業を的確にサポートできる。可能性は広がる一方だ。
3段階に分けた事業戦略を掲げる。第1段階は親会社の鈴木商会向けシステム開発と運用、第2段階はシステムの汎用(はんよう)化とパッケージ商品化、第3段階は他者向けパッケージ商品の販売―といったシナリオ。第3段階までの5年間で成果を残したいと考えている。
システム開発会社ゆえに、生産管理や財務諸表などの業務系システムを構築したり、車載システムアプリ開発、ECサイト構築など守備範囲は広い。
最近は新型コロナウイルス対策で脚光を浴びるテレワークについて、導入に必要なものをハードとソフトの両面から総合的にサポートする事業を始めた。助成金の申請も支援するため、中小の事業主にとってはありがたい。
鈴木商会の加藤弥情報システム部次長は「廃棄物処理の業界はシステム化が進んでおらず、3Kから人材確保に苦労している会社が大半。逆の見方をすれば、手を付けていない分だけ、AIやIoTによる省力・自動化の伸びしろは大きい」と話す。
社名は、北海道を指すEZO(エゾ)と技術のTEC(テック)を合わせた。「北海道から新しい技術を発信したい」との思いを込める。
後藤宏行社長は「5年後に社員数50人、売上高10億円の規模まで伸ばしたい。北海道からリサイクルを中心とした産業界のイメージアップに貢献できれば」と話している。
(北海道建設新聞2020年8月11日付3面より)