鹿島のみ増収増益確保 営業、経常、純利益全てトップ
大手ゼネコン4社の2021年3月期第1四半期決算が出そろった。増収増益は鹿島のみ。大林組が減収ながら最終増益としたが、大成建設と清水建設は減収減益だった。連結売上高や本業のもうけを示す営業利益、経常利益、純利益全てで鹿島が首位。清水建設は特別損失計上で純利益が3分の1となっている。
連結売上高総額は12%減の1兆4388億7400万円にとどまり、前年同期を1958億400万円下回った。連結営業利益総額は896億8500万円(9%減)、連結純利益総額が706億9900万円(19.1%減)とそれぞれ減った。当初、新型コロナウイルス感染症による影響は軽微と見られていたが、計画の取りやめや発注時期の延期、工事の中断・遅延、現場閉鎖に伴うコスト増などが発生し、打撃を与えた。
単体を見ると、受注高と繰越高は大成建設、完工高は大林組、完成工事総利益は鹿島が最も多かった。
受注高は、4社合計で6797億3800万円(33.2%減)。国内民間土木と海外を伸ばした清水建設が唯一増加した。3社は国内民間建築の低迷が足を引っ張った。大成建設と大林組は国内官公庁土木を伸ばしたが、鹿島は振るわなかった。
完工高は4社とも減少。完成工事総利益は採算性向上の鹿島が大幅に増えた。
完成工事総利益率は、前年同期の10.6%から16.3%に上昇した鹿島がトップ。大成建設は収支改善で13.5%(前年同期11.9%)とした。大林組は建築利益率の悪化で10.6%(11.8%)と後退。清水建設は土木、建築ともに低下し、9.2%(10.6%)と1桁台に落ちた。
繰越高は合計で7兆4721億9700万円(4.8%減)。大成建設の2兆2000億円台が筆頭。上積みしたのは大林組だった。
大林組と清水建設が未定としていた21年3月期連結業績予想を発表。連結売上高で大成建設が1兆4500億円、大林組が1兆8600億円、清水建設が1兆4850億円、鹿島が1兆8700億円を計画するが、4社全てが減収減益を見込む。
新型コロナウイルス感染症拡大が下押し要因とされるが、「影響は想定の範囲内で推移」「動向次第で変動する可能性がある」と見方は分かれる。
(北海道建設新聞2020年8月11日付2面より)
北海道建設新聞2020年8月11日付2面では、4者の21年第1四半期決算の詳細を企業ごとにまとめた表を掲載しています。
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