木材や水産物需要喚起 佐藤卓也道水産林務部長

2020年08月20日 10時00分

佐藤卓也水産林務部長

新型コロナの危機突破に尽力

 道水産林務部長に就任して4カ月が経過した。新型コロナウイルス感染症の影響で、木材や水産物の需要が激減。林業・水産業は大打撃を受けている。気候変動や近年相次ぐ自然災害への対応など課題は山積する。変化に対応しながら林業・水産業の振興をどう進めるのか、考えを聞いた。(建設・行政部 仲道 梨花記者)

 ―本道の林業と水産業の現状をどう見ているか。

 林業は、新型コロナウイルス感染症の影響で、物流や住宅建築が停滞し、木材需要が大きく減少している。工場の生産調整や原木の滞留などが発生し、事業者からは先が見通せない経営不安の声が上がっている。道では、業界や関係機関の意見を聞き、国の対策も十分に活用しながら、大径材を有効に活用するための加工施設への支援や、道産木材の需要喚起など本道の林業・木材産業の危機突破に向け、全力で取り組む。国の3カ年緊急対策が本年度で終了するため、予算が例年並みになるのか懸念している。治山事業は予防の観点からも必要となるため、予算を確保できるよう国に要請する。
 水産業は、元々漁獲量が減少している中、新型コロナウイルスの影響で水産物の流通・消費が落ち込んでいる。国の予算を活用しながら、なるべく早い段階で消費や流通が回復できるよう取り組みたい。

 ―北海道胆振東部地震から間もなく2年が経過する。

 国内の地震被害では明治以降最大となる約4300haにも及ぶ大規模な林地崩壊や林道の損壊、木材加工施設の損傷が発生し、林業被害額は511億円にも上る。被災した治山施設のうち、緊急的な対策が必要な71カ所については、年度内に復旧が完了する予定で、その他の崩壊地は、2023年度まで集中的に復旧事業を実施する。林道の復旧は、損壊した18路線69カ所のうち約7割に当たる47カ所の復旧が完了した。残る箇所についても、21年度をめどに復旧を完了させる予定となっている。治山による対策を実施しない箇所は、森林整備事業により被害木の整理を22年度を目標に完了する。同時に試験研究機関と連携し、緑化や植栽方法の実証試験を実施している。時間はかかるが、森林造成を順次進めていきたい。
 ―新型コロナウイルス感染症による今後の発注への影響は。
 公共工事は社会の安定維持の観点から、緊急事態措置の期間中においても事業の継続が求められているため、当初予定通り実施していく。また、受注者における感染防止対策の実施状況を発注者が適宜確認するなど、受注者間双方において「3密」回避に取り組む。感染者が発生した場合、必要に応じて工期の見直しや請負金額の変更、工事の一時中止など適切に対応する。

 ―建設業に期待することは。

 上川総合局長時代に18年7月豪雨を経験した。建設業者には、スピーディーに対応していただいた。建設業は、ただインフラを造っている訳ではなく産業振興の一翼を担っていると感じた。近年は本道でも大規模な自然災害が相次ぎ、各地で甚大な被害が発生している。流出した土砂の撤去や拡大防止のための応急対応はもとより、地域の安全な暮らしを確保するための復旧対策を迅速に実施するためには、建設業界の協力が不可欠と認識している。
 一方で、技術者をはじめとする担い手不足など、建設業を取り巻く状況は他の産業と同様に厳しい。今後も、必要な基盤整備や防災対策をしっかり進めるため、建設業界の意見を聞きながら、地域を支える建設業の健全な発展に向けて、できる限りの協力をしていきたい。

 佐藤卓也(さとう・たくや)1962年5月23日、北広島市生まれ。86年北大農学部を卒業し、道庁入り。2014年水産林務部林業木材課長、15年森林計画担当局長、16年林務局長、18年上川総合局長を経て4月から現職。

(北海道建設新聞2020年8月12日付1面より)


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