北海道胆振東部地震から9月6日で2年を迎えるに当たり、道は20日、報道機関向けの復旧工事現場視察会を開催した。道や町の担当者が復旧工事の進ちょく状況を説明したほか、厚真、むかわ両町の5現場も案内。順調に工事が進み、住民の暮らしの再建が進んでいることを報告した。
はじめに全体説明として、厚真、むかわ、安平3町の担当者が土木系工事の発注状況、道の担当者が住まいの確保に向けた取り組み内容を紹介。
宮坂尚市朗厚真町長は「被災地としては風化や忘れ去られることはつらい。一人一人復旧の歩みのスピード感は違うが、全力で立ち上がり前に進む努力をしている。新しい3町の姿を皆さんに見てほしい」と話した。
この後、厚真町内の新町地区災害公営住宅建築の現場に移動。現在の進ちょく率は80%で、10月末には入居を開始できるとした。
むかわ町では、竹中喜之町長が再建に取り組んでいる定住促進住宅文京ハイツと隣接する鵡川高生徒寮を案内。40%の進ちょくで工事が進む文京ハイツは3階建てで、屋上には津波被害を想定した津波避難所を整備し、隣接する生徒寮からの出入りも可能とする。生徒寮には近隣住民との交流の場を設けるため屋外に地域交流多目的広場を整備するほか、浴室は災害時に屋外から直接出入りできるようにすると説明した。
胆振振興局林務課発注の東和地区B災害関連緊急治山、農村振興課発注の高丘地区農地・農業用施設災復の現場も訪問。無事に工事を終え、農家もほとんどが営農を再開できているとし、道では引き続きフォローアップ事業を展開して営農を支援していくとした。
最後に訪れた厚真町富里浄水場では、室蘭建管が裏山の土砂崩壊の災害対策などを、町の担当者が浄水場本体の復旧状況を説明し、7月31日から全町への給水を再開できたことなどを報告した。
(北海道建設新聞2020年8月24日付11面より)