プラント減少や災害に対応
北海道開発局は、安定した広域輸送が可能なアスファルト舗装技術の導入に向けた検討に着手した。プラントの減少など地元での調達が困難、災害で出荷できない場合などに備えて1時間半以上の輸送でも品質の落ちないアスファルト混合物の開発を目指す。開発局の中温化アスファルト技術や全国の技術も踏まえつつ2020年度内に検討内容を取りまとめる。
国土交通省は20年度の道路分野における新技術導入促進計画として、橋梁点検など11件の技術開発を促進することを盛り込んでいて、新たに取り組むのはこのうち7件。新規の広域輸送可能なアスファルト舗装技術については開発局が担当し、導入促進機関として選定された国土技術研究センターと連携し具体的な検討に入る。
舗装道路の延長は年々増加する一方だが、公共事業量の削減によりアスファルト混合物の需要自体は近年減少傾向。製造プラントも統廃合が進み、適切な温度などで品質管理されたアスファルト混合物が調達できないことが懸念されている。
近年頻発する地震など災害対応においても道路の早期復旧が鍵となるが、災害時にはプラントも被災し、舗装資材を供給できない恐れもある。プラントで加熱したアスファルト混合物の品質は1時間程度しか保たれないため、長時間輸送に耐えられるよう改良を図る考えだ。
新技術導入促進計画では、広域運搬可能とするため1時間半以上の輸送でも品質が保たれるだけでなく、従来と同程度の耐久性を有することを要件に掲げた。原料に再生利用可能な材料を使用するなど従来技術に比べてライフサイクルコストの面で同等以上となることも求めている。
開発局では既に独自の舗装技術として「中温化アスファルト混合物」を実装。製造温度が通常のアスファルト混合物よりも低く敷設後早期に道路を開放できるほか、施工温度も低く保てるため寒冷地施工への適用、現場のCO排出量の削減も期待される。
こうした既存技術や全国での類似技術の実装動向なども踏まえた上で導入可能な技術を検証。最終的には舗装の技術基準改定につなげる予定だ。
(北海道建設新聞2020年8月25日付1面より)