会社探訪記

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会社探訪記 高木貴間建築設計事務所 住宅を北海道の色に

2020年09月04日 12時00分

異形屋根スタイルをアレンジ

 高木貴間(たかぎ・よしちか)建築設計事務所は北海道をベースにした新しい建物を模索する。札幌を拠点に国内外で活動し、外から北海道を見つめ直すことで、1960年代から70年代にかけて多かった住宅スタイルに注目するようになった。三角屋根から派生し、流行した屋根を〝異形屋根〟と名付け、最近は既存農家を改修した「富良野の異形屋根」住宅を造った。

代表の高木さん

 代表の高木貴間さんは1975年、札幌生まれ。98年に北海学園大工学部を卒業し、ロンドンのAAスクール(英国建築協会付属建築学校)に入学。卒業後は東京や札幌の設計会社で働き、2012年に独立した。北海学園大の非常勤講師も務める。

 実家は設計事務所だが、高校時代は建築よりも絵を描いたり、物を作ることが好きだった。進路を考えた時、理系の中で美術やデザインに近い建築学科に進むのが無難と判断した。入学当初は建築熱に火が付かず、卒業後に製品デザインを学び直したり美大に再入学するなど、別の身の振り方を考えていた。

 大学2年生の頃、導火線に火が付いた。当時はACミランやユベントスなどセリエAがブーム。「サッカーを見にヨーロッパへ行こう」という仲間の誘いに乗り、イタリアやフランスを旅行した。サッカーだけでなく、モダニズム建築の巨匠ル・コルビュジエの作品や教会など歴史的建造物に触れ、建築の世界に引き込まれていった。

 23歳で渡英し、AAスクールに入った。「建築学校というよりは美大にいる感覚だった」と述懐する。「テムズ川の横を歩き、そこで感じた音をモデル化せよ」など授業テーマは多彩。〝因習にとらわれない発見をきっかけにした空間づくり〟をモットーとする自身の建築スタイルが、この時期に育まれた。

 10年に世界の若手建築家に贈られる英国・ARアワードで優秀賞に輝く。16年は「house in shinkawa」で、第1回JIA北海道建築大賞2016の奨励賞に選ばれた。

 住宅から商業施設までさまざま手掛ける。最近は74年に建てられた富良野市内の家を二世帯住宅用にリノベーションした。

富良野の異形屋根住宅(佐々木育弥氏撮影)

 既存の家は、60―70年代の北海道住宅で多く見られた屋根の住宅スタイルをアレンジし、傾斜が2段階だったり、方角によって異なる造り。道民にとってなじみ深いが決して美しいとは言えないデザインに対し、〝異形屋根〟と名付けた。

 独特な風貌の戸建てを見た時「困ったな」と感じたという。異形屋根にはネガティブな印象しかなく、格好良くリノベーションすることに自信を持てなかった。

 しかし、道外で活動してきたことが役に立った。「これって子どもの頃から見ているけど、ヨーロッパや東京では見たことないな」と思い、〝北海道らしい新しい家を造ってやろう〟と考えた。

 改修によって1階を親世帯、2階を子世帯とした。断熱・気密性の向上や構造補強も実施。開放感を持たせつつ、職と住を横断する空間をつくり上げた。

 今は、自社事務所のリノベーションを計画している。「これまでの事務所は打ち合わせスペースがなく、外に対してオープンじゃなかった。風通しの良い空間をつくりたい」と笑顔を見せる。

(北海道建設新聞2020年8月31日付3面より)


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