深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 木の城たいせつ 吉村直巳社長

2020年09月04日 10時00分

吉村直巳社長

「チーム木の城」で貢献

 かつての住宅大手「木の城たいせつ」が経営破綻して12年。同ブランドのテレビCMが6月に復活し、道民が長く親しんだメロディーが再び流れるようになった。破綻の翌年に大阪の住宅メーカー、創建の支援で事業が再スタート。黒字を確保しながら年々売り上げを伸ばしてきたが、現・木の城たいせつ(本社・栗山)の吉村直巳社長(38)は「まだ再建は途上」と気を引き締める。

 ―CM効果は。

 全道から反響があり、「木の城が復活していたことを知らなかった」との声を多数いただいた。これまでも紙媒体に広告を出したが、テレビの波及力はやはり大きい。地元にしっかりした住宅会社がないという、過疎地域からの問い合わせも入っている。

 ―現体制に至る経緯は。

 2008年に旧会社が自己破産した後、09年に創建の支援で設立した住宅販売会社「きのしろ」、施工会社「たいせつ」で元従業員を雇い、事業を再開した。私は創建の東京支店から10年にこちらに移ってきた。翌11年にきのしろが「木の城たいせつ」に社名を変えて今に至る。2社の代表は私の父で創建社長の吉村孝文が兼ねていたが、19年春に私と交代した。

 ―業績はどうか。

 09年度こそ赤字だったが2年目以降は黒字を続けている。売り上げも順調で、直近の20年5月期は5年前と比べて約3割多い水準だ。若い人を採用するようになり、社員の平均年齢は10年間で10歳近く下がった。

 ―旧体制から何が変わったのか。

 木の城には宮大工をルーツとする独自の高い技術がある分、そこに依存してしまい、営業の提案力が弱くなっていた。極論すれば家のパターンと価格を示すだけのような、数万円のモノを売るのと変わらない営業だった。今の当社は、顧客それぞれの事情に応じてきめ細かい提案ができる。社員にはいつも「自分が客だったら満足できるか」を考えるように伝えてきた。その意味で、木の城が再建できたかは顧客が判断すること。私はまだ途上だと思っている。

 ―神社の建て替えを手掛けるようになった。

 15年に札幌の石山神社の建て替えをやらせてもらったのがきっかけだ。ここ数年は「震災被災神社復興プロジェクト」と名付け、無償で神社を再建する取り組みを全国で続けている。当社が持つ社寺仏閣の建築技術は全国的にも価値があり、力を入れている事業だ。

 ―社員数は50人台で長年変わっていない。各地からの受注増に対応できるか。

 旧木の城はどこの現場でも自社グループで仕事を完結させていたようだが、私は地元の工務店と協業したい。当社は道産材100%なので林業にも好影響がある。少なくとも道内では「チーム木の城」で本州のハウスメーカーに対抗できるようになれば、最も北海道のためになる。

 ―コロナ禍が続く中、市場の行方をどう見る。

 今のところ当社はコロナの影響を感じていない。ただ今後、収入の不安を感じる家庭が増え、住宅市場一般には逆風が吹く。例えば年に何百棟も建てるような、数を求めるハウスメーカーには厳しい環境になる。だが当社は年50棟に限って、違いの分かる顧客に住まいを提供する会社だ。この市場はまだまだ供給不足で、当面変わらないだろう。

(聞き手・吉村 慎司)

 吉村直巳(よしむら・なおみ)1982年3月大阪市生まれ。米ハワイパシフィック大学卒。2008年慶大院でMBA取得。05年創建入社。10年に現・木の城たいせつ社長室長に就任。19年5月から現職。

(北海道建設新聞2020年9月3日付2面より)


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