東神楽町複合施設の基本設計を担当 建築家・藤本壮介氏

2020年09月10日 10時00分

建築の普遍性信じる

 2025年大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーに就任するなど日本を代表する建築家、藤本壮介氏が東神楽町役場を訪れ本紙インタビューに応えた。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大で生活習慣が変容する中でも「建築はロングスパンで世の中を見なくてはいけない。場所を共有し何かが生まれる。その普遍性は変わらない」と、揺るがない人の営みと自然を見つめ、建築に落とし込む姿勢の重要性を示した。(聞き手・旭川支社 門間 康志)

検討委員会で設計の詳細を説明する藤本氏

寄り道から生まれる出会いを

 自身が育った東神楽町の庁舎を含む複合施設整備事業で、基本設計を担う。現在は実施設計(ドーコン・創明建築設計共同体)が詰めの段階で、基本設計からの変更点を説明する同町での第16回公共施設等集約化検討委員会のため来道した。

 基本設計図書は、新型コロナウイルス流行前の20年1月に出来上がった。既存の役場庁舎と図書館、新設する文化ホールと診療所は、それぞれが幅3mの回廊でつながり輪になっている。「メインの入り口はあるが、いろいろな方向から出入りすることができる」という集合と離散の仕掛けは、寄り道から生まれる昔ながらの出会いを四季を通して与える。

 周囲は、さらに大きな「樹木のリング」。回廊の特徴的な輪は人の目の高さでは見えず、複合施設を象徴する顔は「木立」だ。道北に広がる雪原、草原、田園、花畑に木々が立ち並ぶ悠久の風景から「北海道の森のようなものが役場の顔という在り方もこの場所なら説得力がある」と施設群を樹木でまとめた。

コロナ禍も揺るがない

 にぎわいを安易に肯定できないウィズコロナ下で事業は着工する。「建築が、ライフスタイルの変化にどう対応していくかは本当にこれからの課題」と口元を引き締め、「今はまさにコロナの渦中で、色んな人が色んなことを言うが右往左往してもよくない。すぐに解答が出る問題でもない。だから、しっかりと見据えていきたい」と襟を正す。

 ただ「一方で、色んな形で人が出会い、場所を共有し何かが生み出される。そこの普遍性は変わらない」と信じる。複合施設も「それを大事にしている。人間同士のコミュニケーションの多様さをつくり出したい」と述べ、コロナ前の設計方針は生きる。

 回廊に結び付きと増築の余裕を与え、樹木に時を経ても古びない意匠を託す複合施設は、「閉鎖的にはしたくない」と願う町の中心点。そこから「緑豊かな街になるといい」と新たなにぎわいが広がることを希望する。

(北海道建設新聞2020年9月9日付8面より)


関連キーワード: インタビュー 上川 庁舎 建築

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 北海道水替事業協同組合
  • web企画
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

札幌円山整形外科、病院改築を5月末着工へ🔒
2022年03月14日 (3,595)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (2,701)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (2,311)
モントレ札幌、10月末閉館 新ビル含め利活用検討
2022年08月26日 (2,216)
札幌円山整形外科、隣接地で病院改築🔒
2021年08月02日 (2,131)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 盛り上がれ
ワーケーションnew
函館市の事例から

盛り上がれワーケーション~函館市の事例から~
函館市で加速するワーケーションの動き。継続的なものにするため企業双方に求められる条件を探る。

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第239回「がんと運動」。1日20分のウォーキングでも、始めたその時から効果が。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第24回「手描きパースの不思議」。イメージを伝える際に、手描きならではのお得な側面も。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第23回「モヤモヤ課題解決方法」直面した課題を言語化することが、解決への道となります。