地域経済活性化支援機構と共同出資 事業内容や実現可能性を検討へ
函館市が西部地区の再整備事業を巡り、不動産の売買、管理などの業務を担う民間実施団体の設立に向けた検討を進めていることが分かった。地域経済活性化支援機構(REVIC)との共同設立を視野に入れており、財源には同機構が展開する基金「地域活性化ファンド」の活用を見込む。収支予測を踏まえた実現可能性や具体的な事業内容などを検討していく。
10日に開いた市議会経済建設常任委員会で、都市建設部の担当者が報告した。
伝統的建築物が並ぶ西部地区では、人口減少や高齢化などを背景に、空き家、空き地など低利用、未利用の不動産が増加。地域の魅力が損なわれる懸念があることから、市は2019年度、既存ストック活性化や町会の活性化、同地区での暮らしの在り方検討などを柱とする再整備事業に着手した。
事業の柱の一つである既存ストック活性化は、低未利用不動産の流動化促進を目指すもの。基本計画には具体的事項として、良好な宅地の供給や生活利便施設の導入、観光交流施設拡充などを盛り込んでいる。
これらを進めるには、不動産の周知や仲介、売買、管理などの事務作業が必要となるが、行政機関が担うのは現実的ではないというのが市の見解。このため、民間事業者の専門知識、ノウハウ活用を目的に、民間実施団体設立の検討をREVICを交えて19年12月から始めていた。
土地売買などに関する財源として見込む地域活性化ファンドは、観光資源の掘り起こしなどを目的にREVICが地域の金融機関などと出資する基金。これまでに、兵庫県篠山市の古民家再生や千葉県香取市の観光活性化事業などへの投融資の実績があるという。
今後は、民間実施団体の設立に向け、市とREVICの出資額や具体的な事業内容、設立時期などに関する検討を続けるほか、収支予測も実施し、事業として成立するかを検証する。また、都市政策や都市デザイン、都市経営の専門家をアドバイザーに迎え、専門的見地からの助言を得ながら考えていく方針だ。
(北海道建設新聞2020年9月14日付9面より)