野球を美唄のまちの起爆剤に 谷村工業などが選手雇用

2020年09月23日 10時00分

市や経済界を巻き込んで設立 市民球団「美唄ブラックダイヤモンズ」

谷村工業会社前で野球の勝利と地域活性化を誓う
球団副代表の谷村社長(左)と常田選手

 野球を美唄のまちの起爆剤に―。道内初の野球独立リーグ「北海道ベースボールリーグ」(HBL)に加盟する美唄ブラックダイヤモンズは、今春から市民球団として一歩を踏み出した。過疎化が進む旧産炭地で、選手は地域に密着し野球と就労に取り組む。美唄建設業協会会長で球団副代表を務める谷村工業(本社・美唄)の谷村明紀社長も選手を雇用の面から支える一人だ。目指すは美唄からのプロ野球選手輩出。人手不足の一助となり、地元企業から支援の輪も広がる。「野球のまち美唄へ」と着実に歩みを進めている。(空知支社・荒井 園子記者)

 谷村工業総務部で働く常田真央さん(22)は、美唄ブラックダイヤモンズの外野手。入札・契約の申請書作成補助や現場の支援業務、敷地内の美化活動などに携わる。仕事は午前のみで、午後からは練習・試合で奮闘する日々が続く。

 長野県山ノ内町出身の常田さんは、小学生のときからプロ野球選手を目指してきた根っからの野球少年。長野日大高を経て日体大に進学し、2年生の春リーグ戦が終わるまで硬式野球部に所属していたが、肩のけがから部活を辞めた。その後肩が回復したことで、東京のクラブチームを経て美唄ブラックダイヤモンズの存在を知り、入団テストを受けた。

 現在大学に在学しながらオンライン授業を受け、午前中は谷村工業で働き、午後は練習・試合の毎日を過ごす。保健体育の教員免許取得の勉強と並行しながら「体力の限界を感じるまでプロを目指したい」考えだ。

 これまで20試合に出場し、8月13日の試合では4安打3打点の猛打賞。仕事、練習、試合、大学の課題などで多忙な毎日を過ごすが「仕事を通じて学ぶことが多く、これまで縁がなかった建設業が、いかに重要な産業であるか実感している」と話し「野球で恩返しをしたい」と感謝する。

 HBLは2019年、富良野市で野球塾を運営する出合祐太代表が、日本野球機構(NPB)などへの選手供給や地域活性化を目的に創設。今季は美唄とレラハンクス富良野BCの2球団が73試合を予定している。

 美唄ブラックダイヤモンズは出合氏の打診から、市や経済界を巻き込んで設立。車庫などを製造販売するダイワ工業(本社・美唄)の庄司光哉社長が球団社長に就任し、選手は道内出身3人を含む18―30歳の19人が所属する。

 新型コロナウイルスの影響でイベントなどの中止が相次ぐ中、当初5月2日から開幕予定だったがリーグ戦は、4週間遅れの無観客試合でスタート。美唄市営球場は多いときで週5試合が組まれているが、応援の輪は広がり、平日10―20人、週末は50―70人の市民が球場に足を運んでいる。

 市は閉校した茶志内小跡地を球団本拠地として提供。選手は敷地内の旧茶志内小教員住宅を寮として活用し、同校グラウンドや体育館で練習。午前中は市内の企業や農家などで働き、午後に練習や試合に臨む。選手はリーグ運営費として月5万円を納めるが、寮費や3食の食事代、ユニホーム代などは無償。選手の就業先については、説明会の開催などで企業を募り、建設業のほか、ガソリンスタンド、福祉・医療、農業など幅広い分野で雇用の輪が広がった。

 球団は選手と市民との交流を重視。地域貢献の一環として、選手は道路や公園の清掃、お祭りのみこし担ぎなど市民との交流活動を積極的に展開している。

 谷村社長と庄司球団代表は、市商工会議所青年部元会長として、互いに地域活性化に取り組んできた同士。谷村社長は「地域が元気じゃないと、建設業を含め地元産業は衰退する。選手の雇用が人手不足の一助になったり、美唄への移住・定住につながる可能性もある」と話し、「まちを元気にしたいという共通の思いを胸に、市民と一体になって球団を盛り上げていければ」と期待を込めている。

(北海道建設新聞2020年9月18日付1面より)


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