CGパース制作のアシストワーク(本社・札幌)は、パソコン専用のVR(仮想現実)シミュレーションツール「3DViewer」を全国展開中だ。VR空間を移動しながら工事後の景観や日当たりを確認できる。資料館などの施設紹介や建物・河川の改修計画見直し、周辺住民向け説明会の時間短縮に役立てている。
顧客の要望がきっかけで2005年からVRシミュレーション事業を始めた。年間60件ほど手掛けている。非接触で施設紹介ができることから注目され、4月から問い合わせ件数が1・5倍になった。
VR向け3D空間は図面で作る。操作画面などは自社開発だ。ゼンリン社と連携して画面上に正確な位置を表示できる。
パソコンへのインストールや初期設定が不要の専用VRアプリケーションとして納品する。第三者への配布は自由だ。電子メールにファイルを添付するだけで取引先や周辺住民に共有できる。
3Dソフトが緯度と経度から影の形を自動算出。時間帯ごとの日当たりをすぐに確認できる。3Dモデルのテクスチャと位置は画面上で変更可能。柱や壁を景観に溶け込ませるためのアイデアをその場で試せる。完成イメージの食い違いなどを防げる。
天候変更機能付きで雪や雨など悪天候を疑似体験できる。見通しがよい除雪経路や通行の妨げになりにくい雪捨場の位置などを検討するときに役立つ。
任意の視点から360度を見渡せる。上空など実際に確認するのが難しい視点を設定できる。
実際に画面上で動かせる3Dモデルを追加可能。大人と子どものモデルを作成すれば、それぞれの視点から死角を簡単に割り出して事故を未然に防げる。
自動車のモデルは移動速度の設定が可能。例えば歩道橋を造る場合、車窓から見る橋が与える心理的な圧迫感などを速度ごとに確認できる。3Dモデルの形状や色を変えて再検討すれば利用者の視点から工事計画を修正しやすい。
河川の場合、船を浮かべて工事前後の変化を見比べられる。山形県の最上川、京都府の桂川、滋賀県の瀬田川では10年以上採用されている。流れる水をリアルに再現していて短時間で視覚的に分かりやすく説明できる。役所のほか、景観を重視する料亭や住民の合意を得やすくしている。
アニメーションの制作が可能。オプションで音声や音楽を付けられる。イベントスペースなどで流すPR動画に最適だ。
博物館や資料館には同ツールのほかに集客を伸ばすコンテンツを提案している。16年には蘭越町の貝の館でVRクイズゲームが採用された。操作がとっつきやすく子どもからお年寄りまで楽しく学ぶことができる。
個別見積期間は最短2営業日。Zoomを用いた非対面での打ち合わせが可能だ。
種谷良伸社長は「VRツールと組み合わせて集客効果があるコンテンツの提供ができれば」と話している。
(北海道建設新聞2020年9月23日付3面より)