幌別ダムの放流設備を耐震補強 道企業局

2020年09月28日 10時00分

第1余水吐きは21年度着工

 道企業局は、登別市内にある幌別ダムの放流設備耐震補強の2021年度着工に向けて準備を進めている。2つの余水吐きの門柱やゲート補強、放水路トンネル補修などを計画。第1余水吐きから着手し、1年遅れて第2余水吐きの工事に入る想定だ。総事業費には16億円程度を見込み、事業完了は26年度を予定している。

胆振幌別川の水をたたえる幌別ダム。堤体右端に見えるのが耐震補強を計画する余水吐き

 幌別ダムは道内唯一の工業用水専用ダムとして、胆振幌別川の河口から約3㌔上流地点に築造され、1967年に供用開始した。室蘭地区の鉄鋼関連企業などへ工業用水を供給している。

 95年1月の阪神淡路大震災を踏まえた耐震診断ではダム本体(堤体)の耐震性を確認していたが、その後も東日本大震災など大規模地震が多発したことや経済産業省が「工業用水道施設の技術的基準を定める省令」を改正したことを受けて、16年度からあらためて耐震診断を実施してきた。その診断で、第1、第2余水吐きどちらも大規模地震動の場合にゲートや支柱などが変形する可能性があるという結果になった。ゲートの巻き上げ機も老朽化が進んでいるため合わせて更新する。

 第1余水吐きは幅10m、高さ8・4mのゲートが2門ある。一方、第2余水吐きは水中に幅9・5m、高さ7mのゲートが1門あり、ゲートを開けると放水路トンネルを通じて放水する仕組みになっている。放水路トンネルは直径7mの馬てい形で、長さは約236mある。

 余水吐きの門柱は鉄筋量を増やし、ゲートは部材を交換して補強する方針。放水路トンネルは、コンクリート裏側の岩盤と接している部分に空隙(くうげき)がある箇所が見つかったことから、これを埋める工事を施す。また、第2余水吐きに通じる連絡橋の支承部も補強する予定だ。

 第1余水吐きは18年度に基本設計、19年度に実施設計を実施し、20年度は河川協議と積算を進めている。第2余水吐きは19年度に基本設計を行い、現在は実施設計に着手したところだ。

 工事は冬場の渇水期が中心になる。21年度に第1余水吐きの着工を目指すが、初年度は主に仮設ゲートを製作する予定で、本格的な補強工事は22年度からの見通しだ。第2余水吐きは22年度からの工事を予定する。

(北海道建設新聞2020年9月25日付1面より)


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