会社探訪記

 地域に根差した企業を不定期で紹介します。

会社探訪記 今日和 技術力と安全力で貢献

2020年09月29日 12時00分

進むICT舗装工、準備必須

 今日和(本社・札幌)は、道路整備に不可欠な路面切削の専門工事会社。全長10m超の大型切削機を操り、舗装の前工程として既設のアスファルト表面に連続した凸凹を作る。仕事は道南や道東を中心に全道各地に及ぶ。デザイン性に富んだ企業ロゴを採用するほか、ファッショナブルな作業着を取り入れたり最新鋭の機械を積極的に導入するなど、業界のトップランナーになっている。

大型切削機からロードスイーパーまで最新機械を投入し、道内の道路整備を支えている

 2001年8月に設立。その独特な社名は、創業者が共和町出身で、当初は故郷への思い入れから「共和」の付く社名を考えたものの、同じ名前の会社が複数あって断念し、〝こんにちは〟をもじって今日和(きょうわ)とした。設立当初は「こんにちはの今日和です」を合言葉に営業先を回ったという。

 現社長の河村寿幸さんは創業時からのメンバーで、03年に創業者から経営のバトンを引き継いだ。当時、会社は設備投資や激しい受注競争で大きな負債を抱えていた。

 それでも、地域の信用金庫が「河村さんが社長をやるなら、設備投資分を融資しよう」と応援してくれた。社員には「これだけしか給料を払えない」と打ち明け、納得の上で会社に残ってもらった。苦しい時期が5年ほど続いた。

河村社長

 07年から08年にかけて転機が訪れる。北海道洞爺湖サミットが08年7月に開かれ、各国の首脳を招くため、新千歳空港から洞爺湖や札幌までの道路整備が広域で進む。今日和のオペレーターらも寝る間を惜しんで仕事に臨み、壮絶な日々を過ごした。あふれんばかりの仕事量に、会社の業績にも一筋の光が見えてきた。

 10年ころ、業界でも指折りの敏腕オペレーターだった星野宏征さん(現常務)が「ステップアップのため、営業の仕事をさせてほしい」と河村社長に進言する。重ねて「会社の企業ロゴをもっと格好良くしましょう」と、自ら考えたデザインを提案。新生・今日和が、この頃から動きだす。

 KとWのアルファベットをモチーフにした企業ロゴは、現場で使う大型切削機やロードスイーパーだけでなく、安全ベストやオーバーオール、ブルゾンの背中部分に誇らしげに記されている。道路業界に携わっている人なら、一目見て今日和の仕事だと分かるまで、認知度は上がった。

 最近は新型機械を積極的に導入している。背景にはi―Constructionがあり、「ICT舗装工はマシンコントロール切削機など切削オーバーレイの段階まで来ている。専門工事会社として準備は必須」(河村社長)と話す。

 19年8月に土地を取得し、発寒工事事務所を開設した。本社は清田区で、これまでは西区と東区に整備や運搬車両用のヤードを借り受け、全道一円を6班に分けて仕事をこなしてきた。このため、社員間のコミュニケーションは十分とは言えなかった。

 「念願だった社員の総合的な詰め所が設けられ、互いの意思疎通を図りやすくなった。これからも働きやすい職場づくりを大切にし、技術力と安全力で北海道の道路整備に貢献したい」と話している。

(北海道建設新聞2020年9月28日付3面より)


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