道内107市町村が光回線整備を検討 新たなビジネス可能性

2020年10月06日 10時00分

高度無線環境整備推進事業

 道内では、総務省の高度無線環境整備推進事業を活用して107市町村が光ファイバー整備を検討している。全道の約6割に当たる数で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金も併用できるため、市町村の実質負担が大幅に軽減されることが後押しになっている。中には総事業費10億円以上を見込む市町村もあり、これまで整備が遅れていた農村部や山間部などでも一気に進む見通し。国主導でデジタル化が加速しようとする中、その基盤になる光ファイバー網が全道各地に張り巡らされることで、新たな生活やビジネスの可能性が広がっていく。

 高度無線環境整備事業は、地方公共団体や電気通信事業者などによる光ファイバー整備を支援するもので、国は2020年度第2次補正予算で501億6000万円を措置した。総務省では21年度までに希望する全市町で整備を進めて、新規の光ファイバー整備支援を終える考えだ。

 離島以外の補助率は、自治体が整備する場合で2分の1、民間事業者などは3分の1が基本。ただ、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や過疎対策事業債などを併用することで、実質負担が数%になるケースもあり、市町村にとっては優良な補助だ。

 第3回定例道議会で、道は108市町村が高度無線環境整備推進事業の活用を検討しているという調査結果を示した。本紙では、その後に1町が見送りを決めたことを確認。まだ実施が流動的な市町村もあるが、現在107市町村が検討している。管内別では空知が17市町村、十勝が13市町村、上川が12市町村など。補助申請の期限は23日で、それまでに意向が固まる。

 整備方式を民設で検討しているのは93市町村に上り、ほぼ全ての市町村がNTT東日本と契約する考え。一方、公設は14市町村が予定していて、このうち紋別市や上富良野町など12市町村は、道と連携して北海道公設光ファイバ整備推進協議会を設立。事務作業の軽減や資材共同調達によるコスト縮減を狙う。

 検討状況を見ると、特に整備が遅れていた農村部や山間部での推進を考えている市町村が目立つ。敷設延長は未定の市町村も多いが、別海町では公設により1500㌔を計画し、中標津町、音更町、士別市などは民設で500㌔以上を想定する。総事業費が分かった市町村のうち10億円を超える所は新ひだか町や日高町、音更町、足寄町、士別市など。釧路市は負担金で10億円を超える。

 高度無線環境整備推進事業とともに整備促進を支える感染症対応地方創生臨時交付金は、少なくとも80市町村が活用を検討しているが、未定の所も多く、さらに増えるとみられる。整備は20年度中に行う所もあるが、21年度完了を想定する市町村が多い状況だ。

 各市町村の動きについて、道の担当者は「道が進めるSociety5.0の基盤にもなるもの。スマート農業やGIGAスクール構想を進める上でも基本になり、光ファイバー網が全道に広がることでICT利活用の促進、都市部と農村部の格差が縮まることを期待する」と話す。

 政府はデジタル庁創設に向けて、9月30日に準備室を設置した。新型コロナウイルスから暮らしを守り、経済を発展させるためには5GやIoT、AIなどデジタル化の波は不可避で、光ファイバー網のさらなる強化によって、全道各地でデジタル化の動きが加速することが予想される。

(北海道建設新聞2020年10月5日付1面より)

北海道建設新聞2020年10月5日付1面には、道内市町村の高度無線環境整備推進事業について、管内ごとの整備状況のほか、手法(公設民営、民設民営)をまとめた表を掲載しています。本紙の購読については、こちらのページをご覧下さい。


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