カエル・デザイン・プロジェクトの田沼美明社長に聞く

2020年10月13日 15時00分

アフターコロナを見据えて 急変化に対応できる空間を

田沼社長

 コロナ禍をきっかけに事務所縮小や地方拠点の新設が増えている。オフィス開設などの企画立案を手掛けるカエル・デザイン・プロジェクト(本社・小樽)は、都市部での70m²以下の空き物件増加を商機と捉える。2017年の設立以来、道内のほか、首都圏など全国10拠点で内装設計や電気工事を展開中だ。田沼美明社長にアフターコロナを見据えた空間づくりの考え方を聞いた。(経済産業部・城和泉)

 ―道内の空き物件の状況は。

 300m²以上の大型物件は依然として競争率が高い。一方で、札幌の中心地では飲食店撤退が続き、小規模な空き物件がさらに増える見込みだ。

 大企業は災害や感染症のリスクを分散するため、本社から遠い拠点の開設を急いでいる。札幌の比較対象となりやすい福岡市は空港への交通アクセスの良さなどから人気だが、近年大型化している台風の被害が深刻だ。道内の夏は冷涼で過ごしやすく被害が少ない。札幌の中心地は地下街が発達していて雪に不慣れでも移動しやすい。高速インターネット環境などリモートワーク向け設備を充実させれば、狭い物件でも需要は掘り起こせる。

 ―狭い空き物件に提案できることは。

 当社は改装と原状回復が簡単な事業所兼倉庫を「ガレージオフィス」と呼び、複数拠点で採用している。空間のレイアウトを固定しなければ、出社しない期間の倉庫化や多角化で異業種向け施設への転換に素早く対応できる。例えば、パーティションやオフィス家具にはキャスター付きで日常的に動かして折り畳めるタイプを設置する。将来的に抗ウイルス仕様の空間が標準になるはずだ。感染対策の方法や設備が定まるまでは、無駄な設備投資を抑える工夫が肝要だ。

 ―どんな利用者が見込めるか。

 小さな空き物件が増える状況は、これから事業本格化を目指すスタートアップ企業の経営者が好立地のオフィスを開設する千載一遇のチャンスだ。相談者の多くは本業を持ちながら副業用のオフィス開設を検討している。副業がまだ試行段階ならば、低コストのシェアオフィスで事業がアフターコロナにも通用するか見極めるのもいい。

 人生100年時代が到来すれば、業種や業態の途中変更を見据えた長期的な経営が可能になる。そのたびに条件に合う物件を探し、オフィス移転を繰り返すのは非効率的だ。また、以前なら従業員の増加は事務所の大型化を意味したが、リモートワークが普及した社会では必ずしもそうではない。低予算・短期間で急な変化に対応しやすい空間のデザインを実現し、持続可能な事業展開の手助けがしたい。

(北海道建設新聞2020年10月10日付2面より)


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