キャリアパス見据え社員化 武部建設が見習い若手大工育成

2020年10月17日 10時10分

 次代を担う若者の入職が減少傾向をたどり、高齢化が進む大工―。道内でも大工の担い手不足は喫緊の課題となっているが、武部建設(本社・岩見沢)は現在5人の見習い大工を三笠作業所で育成中だ。武部豊樹社長は「自ら育てる」をキーワードに育成と採用を推し進め、キャリアパスを見据えた大工の社員化を図る。見習い若手大工は「大工の仕事が好き」と胸を張り「現場は想像以上に楽しい場所。まずは飛び込んでみてほしい」と入職を呼び掛けている。(空知支社・荒井 園子記者)

希望や夢を膨らませて大工を目指す5人の若者たち

 同社は、民家再生や木造住宅を中心に展開する工務店。大工の基本技術である墨付けや手刻みなどをはじめ、あらゆる木造建築に対応できる適応力のある大工の育成に努めている。

 大工育成は第1期が1995―99年で「武部建設大工育成塾」を社内で立ち上げた。第2期は2000―10年で民家再生事業の立ち上げ時期で、国家プロジェクト「大工育成塾」とも関わってきた。そして17年からは第3期として、JBN大工育成プロジェクトに参画。「JBN大工育成ガイドライン」策定で、実践的取り組みとして新人大工の育成を本格化させている。

 大工育成ガイドラインでは、大工の社員化に向けて、雇用契約締結や社会保険適用、就業規則整備、キャリアパス共有―を重要項目と位置付けている。採用と育成をセットとして考え、OJTと社外研修を実施。3年間を育成期間と定め、指導棟梁による現場での実地訓練と、職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)と連携した自主訓練で若年大工が基本技術を身に付ける。

 武部社長は「仲間がいなかったり、自分の技能がどれだけ伸びたか成長度合いの見える化が必要だった」と話す。

 同社には現在、男性3人と女性2人の見習い大工がいる。3年目の柳原万智子さん(北大卒、25歳)、五十嵐智広さん(道科学大卒、24歳)、2年目の岩木克仁さん(室工大卒、26歳)、有ノ木巧さん(札幌高等技専卒、21歳)、1年目の鍋島未樹さん(青山建築デザイン・医療事務専門学校卒、25歳)で、全員正社員として同社に入社し大工修行の真っ最中だ。

 全員ものづくりが好きでインターンシップを通して入社。現場内・作業場内の環境整備が整っていたことや、温かい雰囲気が決め手になったという。

 青森県の実家が工務店を営む岩木さんと父親が大工の有ノ木さんは、いずれも小さいころから大工という職業を身近に感じていた。五十嵐さんはゼミの先生に相談して同社を紹介され、柳原さんと鍋島さんの女性2人は、民家再生や日本家屋に興味があり、ネット検索で武部建設にたどり着いた。

 実際に大工見習いをして、岩木さんは「学校の勉強と違って総合力が求められる」、有ノ木さんは「手刻みなど想像以上に難しいが、大工はお勧めの仕事」と実感。柳原さんは「3年間の見習い期間が短く感じるほど奥深いが、私に任せたいと思ってもらえるような仕事をしたい」と話す。

 五十嵐さんは「毎日新しい仕事を覚えていく過程が楽しい」、鍋島さんは「自分が携わったものが仕上がることに達成感を感じる」とやりがいを語る。

 同社には各現場の棟梁のほか、全体を統括する2人の棟梁がいて、そのうち1人が育成を担当する。ゆくゆくは独自の育成プログラムを作る意向。来春は高卒の大工志望者2人が入社を希望している。

(北海道建設新聞2020年10月10日付1面より)


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