道がコロナ離職者支援 異業種就職で奨励金

2020年10月22日 07時00分

人手不足の建設会社追い風に

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で雇用環境は厳しさを増している。厚生労働省によると、9日時点の解雇見込みは道内で2463人に上り、新規求人数は宿泊・飲食サービス業を中心に激減した。一方で、建設業などは人手不足が続いていることから、道は異業種への就職支援を強化する。異業種から人手不足職種に就職した場合、求職者と採用企業に奨励金30万円を支給し、就職を後押しする。13日以降に就職した人を対象とする。

 厚労省の発表によると、道内の解雇見込み労働者は2463人で、雇用調整の可能性がある事業所は1万196カ所に上る。収入減などによる自己都合離職は含まれないため、実際に新型コロナウイルスの影響で離職した人はさらに多いとみられる。また、北海道労働局によると、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の支給申請は、9日時点で4万9754件に上り、今後離職者が増えることが懸念されている。

 しかし、受け皿となる新規求人の戻りは遅い。新規求人数は緊急事態宣言が発出された4、5月に前年同月比で大きく低下。解除後も宿泊・飲食サービス業や製造業、サービス業では3割前後減少するなど回復には至っていない。道労働局の担当者は「道内は首都圏と比べ産業構造が違うため求人の戻りが遅い」と分析する。

 一方で、建設業の下がり幅は小さかった。2月には12.7%減少したものの、その後は回復し、5月以降はほぼ横ばいで推移。8月の建設職種の有効求人倍率は4・59倍と全職種平均の0・94倍を大きく上回り、依然として深刻な人手不足の状況が続いている。

 道はこの状況を受け、離職者と人手不足職種のマッチングを強化する。新型コロナウイルスの影響による離職者が道内の人手不足職種に異業種から就職した場合、求職者と採用企業に奨励金30万円を支給する。転居を要する場合は20万円を上限に転居費用も支援する。

 支給対象は、2月28日以降に新型コロナウイルスの影響による解雇や収入減など自己都合での離職者。対象職種は建設・採掘の職業や建築・土木・測量技術者、建設機械運転工などの人手不足分野。13日から2021年3月31日までに就職、申請し、正社員として3カ月以上勤務することを条件としている。申請は11月にも開始する予定だ。

 道の担当者は「コロナの影響で求人が減り、就職が難しくなっている。この機会に人手不足職種に目を向けて欲しい」と話している。

(北海道建設新聞2020年10月21日付1面より)


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