新型コロナウイルス感染症の影響で乗車料100億円超減収の見通し
札幌市は20日、2020年度の地下鉄乗車料収入について、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、現在の状況が続けば前年度比で100億円超の減収になるとの見通しを示した。交通局は感染症対策などを最優先に、事業の先送りや規模などの検証によって事業費の圧縮に努める考え。全体事業費が大きい駅のリフレッシュ事業は計画をいったん凍結する。
20日の市議会第2部決算特別委員会で前川隆史氏(公明党)、小須田ともひろ氏(自民党)がコロナによる経営への影響を質問。同局の松川泰昭事業管理部長が答えた。
地下鉄の乗車人員と乗車料収入は少しずつ回復しているが、直近の8月で乗車人員は前年度比約27%減、乗車料収入は約25%減という状況。特に土日祝日は乗車人員が大きく減少したまま回復しておらず「イベントの開催自粛や買い物など外出機会の減少が大きく影響している」と分析した。
4―8月の5カ月間の乗車料収入は前年度比約59億円の減収で、8月と同様の状況が続けば20年度の乗車料収入は「100億円を超える規模の減収になると見込んでいる」と説明した。
厳しい経営状況に対処するため、同局は20年度予算に計上した事業の先送りや工法などの見直し、規模縮小を検証。特別減収対策企業債を活用することも伝えた。
交通事業経営計画に盛り込んだ事業は、老朽化施設改修など喫緊の課題が中心でコロナ禍でも「しっかりと実施することが必要」と強調。一方、経年劣化が進む壁面などを改修し清潔感ある明るい駅にするリフレッシュ事業はいったん凍結。沿線地域の再開発との連携などから必要なものは個別に対応する考えだ。
(北海道建設新聞2020年10月21日付10面より)