子どもたちを笑顔にしてあげたい―。上田組(本社・標津)は21日、子どもたちが収穫を楽しみにしていたヤマブドウの盗難被害に遭った標茶町立ひしのみ保育園に、自社農園で採れたブドウをプレゼントした。
標茶町塘路地区にある同園は園児数6人。敷地の境界沿いに設置されたフェンスにはヤマブドウがツルを絡ませ、毎年この時期に実を付けている。
21日に町内の沼幌へき地保育所に通う子どもたちとの交流会が開かれるため、一緒にブドウ狩りをしようと一部にネットを掛けて保護していたが、19日朝に職員が出勤するとそれらがほぼ摘み取られていた。
20日にテレビで流れたそのニュースを出張先で見た上田修平社長は「うちのブドウで子どもたちを笑顔にできないか」と考え、遠藤直人営業部長に連絡。翌日、同社がビニールハウスで栽培している4種類のブドウのうち、食べ頃を迎えたピオーネ10房を朝7時に収穫し、すぐに同園へ向かった遠藤部長が一人に一房ずつ手渡した。
同園の小野寺智恵主任は「心ない人もいるが、優しい人もいるということが身に染みた。涙が出そうなほどありがたい申し出」と感謝していた。
遠藤部長によると、同社では1000房の収穫が見込まれる2022年からブドウの本格販売に乗り出す方針。ことしは例年実施している地元の子どもたちを招いてのブドウ狩りが新型コロナウイルスの感染拡大で実施できないため、社員や地域に配布する予定だったという。(釧路)
(北海道建設新聞2020年10月23日付7面より)