二本柳慶一建築研究所が建物の構造分析など指導
二本柳慶一建築研究所(本社・函館)は、函館工高が取り組む函館駅前の街区模型製作を通じた街並みの研究に協力している。両者ともに初の試みで、同社は建築科3年生を受け入れ、建物構造分析の仕方などを指導。まちの現状を知ってもらうとともに、魅力ある街並み形成に向けた検討などを通して建築の面白さを伝え、これからの建築に携わる人材として育てるのが狙いだ。
課題研究という授業の一環で、対象は若松町、松風町、東雲町、大森町といった函館駅前一帯の地域。生徒たちは9月から毎週金曜日に同社へ赴き製作に励んでおり、同社は建物や街並みの構造分析の仕方のほか、模型製作のポイントなどを指導している。23日に報道機関向けにその模様を公開した。
建物の規模や形状などのデータは、春先から現地を見て回り写真を撮影しながら収集。グーグルマップの3次元表示やストリートビューなども駆使しながら、スタイロフォームで建物を作り、600分の1の縮尺の地図に貼り付けていく。
生徒の多くは駅前ではなく商業施設が集まる美原地域などに遊びに出掛けることが多いが、「駅前は駐車場が増えている印象。若者が遊べる商業施設があれば」「はじめは材料の加工がうまくできなかったが、皆で話し合って克服するのが楽しい。観光客だけでなく地元の人も楽しめるまちにしていきたい」などの意見が上がっている。
指導に当たる同社の技術職員、尾田圭輔さんは「限られた時間で完成に近づけるため、ある程度簡略化して製作するといった、こつを教えてきた」と話す。作業が進み模型が形になってくるとともに生徒の関心も高まっているという。
課題研究を担当する筒井史朗教諭は「長期間にわたる取り組みで、締め切りや納期に間に合わせるのはもちろん、はじめから丁寧に作業するなど、就職後に必要な能力を養えるのでは」と期待を寄せている。
完成は11月中を予定し、模型を用いて魅力ある街並みにするための手法を話し合う機会も設ける。新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ発表会などは開かないが、報道機関向けに披露する計画だ。
(北海道建設新聞2020年10月27日付11面より)