小学校の教材として活用も視野に
プログラム上に第2の新ひだか町をつくる取り組みが進められている。子どもたちにもなじみ深いコンピューターゲーム「マインクラフト」を活用して町内の名所を再現するもので、手掛けるのは北海道情報大の学生だ。完成した舞台は、eスポーツのフィールドとして公開するほか、小学校のプログラミング教材に活用することも視野に入れる。
活動は、eスポーツ地域活性化プロジェクトと銘打ち、9月から本格的に制作を開始した。道情報大で長年、新ひだか町の活性化に携わる福沢康弘講師の勧めもあり、同町を舞台に選んだ。町観光協会も資料提供に協力。技術サポートはゲーム情報学などが専門の河原大講師が務める。
9人の再現チームでリーダーを務める浦河町出身の竹内清人さん(3年)は「現地の資料を見るといろいろなアイデアが浮かんで楽しい。やりがいもあり、地元への恩返しになれば」と意気込む。制作についても「試行錯誤する時間が一番楽しい」と充実感を感じている。
再現に使用するマインクラフトは2009年にスウェーデンの会社が発売したゲームで、現在、月間1億3100万人がプレイしている。土や木などのブロックを組み合わせ、道具や建築物を作れるのが特徴だ。
21年2月の作業完了を見込んでおり、JR静内駅舎、商店街、二十間道路桜並木、真歌公園の中を自由に移動できるようになるという。オンラインで、これらの場所を舞台とした宝探しイベントも開催する予定だ。
河原講師は「全世界に町を公開でき国内で新ひだかに興味がある人も手軽に地域の雰囲気を知れる機会になる」と話す。
完成した空間は、小学校におけるプログラミング教育の素材となる可能性があり、町教委もバーチャルな町に興味を示す。正確に再現された町並みは児童らが親しみやすい上、自在に解体や建築ができ扱いやすいためだ。
また、自らが造ったものが形として残るのは建設業との共通点でもある。河原講師は「子どもの頃から大規模な物づくりを体験することで、建設作業への距離は縮まるのでは」と、建設業へ好影響を及ぼす可能性があるとみている。
(北海道建設新聞2020年10月29日付11面より)