解体が計画されている北海道百年記念塔を巡って、日本建築学会北海道支部歴史意匠専門委員会の有志は6日、鈴木直道知事に「存続に関する要望書」を提出した。要望書では建築から50年経過した百年記念塔の有形文化財としての価値などを訴え、あらためて幅広い専門家の意見を聞き、修理・改修について最善の検討を望んだ。
道は老朽化と、これに伴う保守管理費や大規模改修費の増大などを理由に百年記念塔の解体を計画。10月には解体工事の実施設計を公募型プロポーザル方式で公告した。
こうした道の動きを受けて、日本建築学会道支部歴史意匠専門委員会の有志11人が要望書を提出することに決めた。
要望書では①道民のランドマークであり、地域のシンボルとして親しまれている②わが国の主要な公募公開競技による最優秀作として建築された③高度な実験を経て、吟味した建築材料を用いた施工である④建築から50年経過し、国の登録有形文化財としての価値がある―という点の勘案するよう求めた。
特に有形文化財の価値に関しては、取り壊すと歴史的にも取り返しがつかない結果になることを指摘し、総工費の多くを趣旨に賛同した道民の寄付で賄った背景なども踏まえて、拙速に解体することなく、かけがえのない文化財を継承するよう申し入れた。
また同日、建築家有志で構成する「北海道百年記念塔の未来を考える会」も公募型プロポーザルの公告を受けて百年記念塔の拙速な解体に抗議し、再び公開質問状を提出。解体を急ぐ理由や地域説明会の開催有無などをただしている。
(北海道建設新聞2020年11月7日付1面より)
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