念願の設計会館誕生へ
北海道建築士事務所協会は、三共電気工業(本社・札幌)と共同でビルを新築し、本部と札幌支部を移転することを決めた。同協会にとって設立時から念願だった設計会館が、2022年1月末に誕生する。新ビルには、北海道設備設計事務所協会など複数の団体も入居する見通しで、建設関連の技術者が集う拠点となる。
「03年に団体が発足した時から設計会館が欲しいという思いがあり、自分が会長になって実現したいとずっと考えていた」。道建築士事務所協会の庄司雅美会長はこう振り返る。協会の財政改革を進める上で、本部と札幌支部が入る大五ビル(中央区大通5丁目11)の賃料を将来にわたり払い続けることは厳しく、建設業界が縮小する中、協会運営を進めるには自前の施設が必要だったと話す。
しかし、近年の地価上昇を背景に、都心部で適地が見つからず困っていたところ、三共電気工業の萩本哲夫社長と会ったことで状況が変わった。その頃、JR札幌駅に近い北区北6条西6丁目2にあった同社社屋は、築50年が経過して建て替え時期を迎えていた。
こうした中、萩本社長が新たな設計会館に対する庄司会長の思いを聞き、「建設業界全体のためになれば」と考え、両者の機能が補完できる共同ビルの模索を始めた。
協議の結果、三共電気工業が保有する敷地を同協会が賃借するとともに、建物にかかる費用の3分の1を払い、区分所有することでまとまった。1―6階は三共電気工業が、7―9階が同協会が保有する。
RC造、9階、延べ1802m²の規模で、10月に着工。新ビルには両者のほかに、日本建築家協会北海道支部や北海道設備設計事務所協会、日本建築構造技術者協会北海道支部がそれぞれ本部を移転する予定だ。
庄司会長は「さまざまな協会が一つのビルに入るため、業界の展示会が開催できる施設になれば」と展望する。萩本社長は「このビルに来れば、建築や電気のことが何でも分かる場所にしたい」と完成を待ちわびている。
(北海道建設新聞2020年11月10日付2面より)