会沢高圧コンクリート、自己治癒コンクリの量産技術確立

2020年11月19日 09時00分

札幌の製造プラントで国内初の商用生産開始

 会沢高圧コンクリート(本社・苫小牧)は16日、バクテリアの代謝機能を活用した自己治癒コンクリートの量産技術を確立し、札幌市内の製造プラントで国内初となる商用生産を始めた。日産10㌧ほどの連続製造が可能で、生コンクリートに換算すると約2000m³、年間70万m³相当分のコンクリートを自己治癒化できるという。セメント由来のCO₂排出量の削減効果も期待でき、今後は関東や関西圏にも同様のプラントを追加設置し、建設業界の脱炭素化に貢献する構えだ。

 約2年半の実証実験を踏まえ、Basilisk(バジリスク)と名付けたバイオマテリアルの製造プラントを札幌市内で本格稼働させた。インバーターで制御しながら内羽を1分間に2000回転、外羽を40回転の速度で駆動させ、一度に600㌔㌘のバイオマテリアルを5分間で製造する。

 コンクリートの自己治癒技術は、オランダ・デルフト工科大のヘンドリック・M・ヨンカース准教授の率いる研究チームが開発した。ひび割れに代表されるコンクリートの損傷を、コンクリート自体が自動的に修復する機能だ。

 アルカリ耐性の強いバクテリアと、バクテリアの餌となるポリ乳酸をカプセル化し、コンクリート製造時に配合して使う。コンクリートにひび割れが生じた際、餌を食べて炭酸カルシウムを排出するバクテリアの代謝機能を活用し、自動的にひび割れを埋めてしまう仕組みだ。

 同社は、デルフト工科大・バイオベンチャー企業のバジリスク・コントラクティングBVと2017年に日本独占販売契約を結び、グループのアイザワ技術研究所を交え、カプセルの小型化や量産技術の確立に向けて共同研究してきた。

 研究当初は、カプセルが大き過ぎてコンクリート内部で安定しづらかったり、製造工程が複雑でコスト高になるなど課題があった。量産化は、バクテリアがコンクリート混練時の高アルカリにさらされても一定の生存率を保つことが鍵。化粧品や医薬品の特殊ミキシング装置を改良することで、粒子サイズが大きく異なるバクテリア集合体とポリ乳酸が均一に混合できるようにした。

 ミキシング装置は、ドイツ機械メーカーのMIXACOと共同開発。材料かき混ぜの容器内を密閉して減圧した後、容器を上部に180度反転させ、インバーター制御によって内羽と外羽それぞれを異なる速度で回転させる。密閉減圧することで、バクテリアやポリ乳酸の各粒子にかかる重力を軽減し、材料の分散効果を飛躍的に高めた。

 同業者との連携を全国で進め、インテリジェントマテリアル(賢い素材)として通常のコンクリートからの転換を促す。専用のウェブサイトを開設し、リモート面談したり、手軽な液体タイプ補修材やモルタル系補修材の販売も始めた。

 会沢祥弘社長は「日本のセメント消費量は年間4300万㌧ほどで、同時に約3400万㌧のCO₂が大気中に放出されている」と説明。「文明維持にコンクリートは欠かせないが、気候変動で地球が壊れてしまったら元も子もない。コンクリートの自己治癒化は、作っては壊しを繰り返す20世紀モデルと決別することと同義だ」と話している。

(北海道建設新聞2020年11月17日付3面より)


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