準天頂衛星システム「みちびき」を活用
東日本高速道路北海道支社は25日、準天頂衛星システム「みちびき」を活用したロータリー除雪車の自律走行を道東道夕張IC内のテストフィールドで公開実演した。乗車するオペレーターがステアリングやブレーキに触れない状態で、ロータリー除雪車が設定されたコースを自動で走行し、路側帯との距離を調整したり、構造物を避ける様子を披露した。

衛星から送られた位置情報を基に白線に沿って自律走行するロータリー除雪車
同支社は、事前に作成した高精度地図情報と衛星から送られる信号を組み合わせ、車両の正確な位置を運転席のモニターに表示する除雪車運転支援システムを2017年に開発。19年からはシステムを活用しロータリー除雪車の自動化に向けて開発を行ってきたが、ことしの秋に自律走行が実現した。雪氷対策高度化システムの総称を「ASNOS(アスノス)」と名付け、さらに開発を進める考えだ。
ロータリー除雪車は、時速3㌔ほどのスピードで路肩部を除雪するが、雪に隠れて白線が見えなかったり、ガードレールや非常用電話などを避けなければならずオペレーターは熟練した技術が必要だ。自動化が実現することで、労働人口減少や熟練者の引退で担い手が不足する状況でも、安全で効率的な除雪体制が可能となる。
市川敦史技術部長は「さまざまな雪氷対策を行っているが、いかに効率的に省力化できるかという点で自動化を進めている」と説明。準天頂衛星で特殊車両を自律運転する試みは国内外でも珍しいと強調した。
今後は投雪装置の改良などさらに開発を重ね、22年度内のロータリー除雪車自動化完成を目指している。
(北海道建設新聞2020年11月26日付1面より)