再エネ分野視野 新規営業部門
丸吉ロジ(本社・北広島)は、鋼矢板や橋桁など鉄製品に特化した物流会社だ。単に鋼材や部材の輸送だけでなく、荷主から倉庫運営を受託したり、製品の切断や溶接など加工を手掛けるオールマイティー物流「丸吉モデル」を実践している。新型コロナウイルスの影響で先行きの業況は非常に厳しいとみるが、ものづくりや再生可能エネルギーなどの分野を視野に入れた新規営業部門を創設し、オンリーワン企業を目指す。

3PLの一環として荷主の倉庫運営を担う
1973年設立の丸吉興業がルーツ。79年に丸吉運輸機工を設け、鉄製品の加工と金属スクラップ、運送の3本柱で事業を進めてきた。2002年、丸吉運輸機工に1本化する。
現社長の吉谷隆昭さんは02年に会社に入り、08年から父・隆さんのバトンを継ぎ会社を指揮する。もともとは旭川の建設資材総合商社で5年ほど働き、荷主の立場から運輸業界を見てきた。
隆さんは、荷主1社に依存する経営体質から脱却しようと、顧客を多様化したり本州市場の開拓を試みた。しかし、設備の減価償却が終わったタイミングで故障が発生するなど一筋縄ではいかなかった。
そんな中、苫小牧のある鉄工センターから運営の相談を受ける。それまでは荷主と運輸会社、作業会社がバラバラに動き、何時に車両が入るのか見当が付きにくかった。それを丸吉運輸機工が音頭役となり、製品管理や配車、作業などの各機能を荷主側にまとめることで透明化を図った。
「当時、センターの担当者が取引先に〝うちのパートナーです〟と私を紹介してくれたことは、いまだに忘れない」と隆昭さん。荷主と運輸会社が縦の関係ではなく、横並びで一緒に仕事をすることに喜びを覚えた。
これが丸吉モデルの原型となる。その後、苫小牧の成功体験が支持され、関東や東北でも拠点を任されるようになった。
近年は、荷主に代わり第3者が効率的な物流形態を担う3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)を深化させようと考える。検品など倉庫運営から資材の切断・穴開け・溶接、積み込みや積み卸し作業まで、守備範囲は広い。

資材の切断や穴開け、溶接なども手掛ける
19年5月「丸吉ロジ株式会社」に社名変更した。丸吉運輸機工の創立40周年と隆昭さんの社長就任10年を節目とした決断だった。「運輸会社の枠にとらわれない、鉄の物流(ロジスティクス)会社を表したかった」と話す。10年間の取り組みの集大成がロジスティクスであり、後世に残す道しるべとしての思いも込めている。
ここ数年の業績は右肩上がりにある。20年度は上半期こそ新型コロナウイルスの影響で出鼻をくじかれたが、トータルでは前年度並みの水準を確保できるとみる。
今後は新規営業部門を設ける計画だ。「新型コロナによる事業環境の変化があったからこそ、新規営業の発想が生まれた」と隆昭さん。鉄工所などものづくり企業や、バイオマスなど再生可能エネルギー分野がターゲット。冬季の収益策として石油輸送も担う予定だ。
「人手不足や働き方改革で困りごとを抱えている荷主が多い。そういう時代だからこそ、地場ロジスティクス会社の腕の見せ所」と話している。
(北海道建設新聞2020年11月30日付3面より)