札幌・里塚地区の震災復旧が間もなく完了へ

2020年12月05日 10時00分

五洋建設 鈴木定義総括所長に聞く

 北海道胆振東部地震で大規模な地盤沈下が発生した札幌市清田区里塚地区の災害復旧が、間もなく完了を迎える。多くの工事で混雑する同地区のまとめ役として、地盤改良を指揮した五洋建設の鈴木定義総括所長が最も気を配ったのは住民との関係づくり。これが地域再建を実現するための早期の工事完了につながったという。復旧までの1年半を聞いた。(建設・行政部 寺岡美貴記者)

鈴木定義総括所長

 ―大規模な液状化と地盤沈下被害の復旧が12月で完了する。

 出身地である札幌に少しでも貢献ができて良かった。工事を受注した者として当たり前のことをしただけだが、結果を得ることができた。終わりが見えて少しほっとしている。大きな地震がないことを祈っているが、同規模の地震でも100%大丈夫と思える仕上がりになった。

 ―液状化被害では全国的に例がない薬液注入で宅地を地盤改良した。

 新千歳空港などで同様の工法、浸透固化の薬液注入を経験してきたが、地盤が不均一になった、被災後の場所での施工は初めて。宅地ごとに調査を進め、改良範囲を決めていった。

 これだけ緩い地盤なので、注入した薬液が流れ出るといった心配があり、ここは勝負所と思っていた。方法としては、セメント系の改良材で空隙(くうげき)などを詰めてから本注入するやり方を取ったが、試験をするたびに強度結果が出て、少しずつ大丈夫という確信に変わった。こうした確認を繰り返し、一つ一つの積み重ねで、何とか完成まで至った。

 ―時間がたつほど住民は地元を離れてしまう。地域再建のため早期復旧が求められていたが。

 ことし3月までに地盤改良を終わらせることが最重要課題。薬液の注入量は当初設計から1・5倍になったものの、住民や市の協力で期間内に終えることができた。

 真冬の施工は初めてだが、薬液が凍らないように養生するなど冬場をスムーズに終われたのが大きかった。一日も早い復旧に頑張ってくれた作業員に感謝したい。

 ―住民の意向を最優先にしたと聞いている。

 住民との関係づくりを一番大事にした。住民の理解を得られなければ、当然工事を進めることができない。距離が近く、騒音振動による迷惑を掛けることを説明会や現場見学会などで理解してもらえたのは大きかった。

 宅地の地盤改良は家がある状態でもできるが、解体後の方がスピードは上がる。早期完了のためにも、住宅解体業者の紹介や立ち会いなど、協力は惜しまなかった。

 宅地の試験内容や結果説明で、みなし仮設を含め約130人を、その都度訪ねた。住民対応に主眼を置く職員を任命し信頼関係の構築にも力を入れた。住民との関係が早期復旧につながったと考えている。

鈴木定義(すずき・さだよし)1964年12月31日札幌市生まれ。室蘭工大大学院を卒業後、89年に五洋建設へ入社。新千歳空港や福岡空港で薬液注入による地盤改良に携わった経験を持つ。

(北海道建設新聞2020年12月3日付10面より)


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