大型施設整備に影響も 長沼と月形に過疎指定除外の恐れ

2020年12月07日 15時00分

 今後の大型ハード事業に影響の恐れも―。

 2020年度末で期限切れを迎える過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)に代わる新法案について、年明けにも通常国会へ法案が提出される見通しだ。新法案により、空知管内では長沼と月形の2町が過疎地域の指定を外れる可能性がある。いずれも、今後計画予定の大型施設整備に過疎債を充てる見通しだったが「指定を外れることになれば、新たな財源の確保が必要になってくる」と危機感を募らせている。

 現行の過疎地域は、人口減少の起点となる基準年を地方から都市部への人口流出が進んだ1960年と設定。自民党過疎対策特別委員会が議論する新法案は、人口流出がいったん収束した75年、過疎地域の人口減少率が最小だった80年―のどちらかを検討している。

 道内は、長沼と月形の2町を含め最大13市町が指定を外れる可能性があり、月形町は80年が基準になった場合は指定が外れる。

 指定された市町村は、国が返済額の7割を負担する過疎債を発行できるが、指定を外れれば、過疎債を前提に計画していた事業は見直しを迫られる。

 長沼町は現在、農地の国営事業の支払い、広域自治体によるごみ焼却施設整備の負担金、高校生までの医療費の無料化などに過疎債を充てている。ことし7月に無投票で初当選した斎藤良彦町長の1期目の公約にもある小中学校の改築をはじめ、町立病院の改築など老朽化施設の整備などに充てる見通しだった。

 月形町は、町立病院の運営費、町内各戸に設置しているIP電話(災害情報提供など)の更新費、消防関係の機器更新費、橋梁長寿命化などの事業費に過疎債を充ててきた。今後ハード事業として計画を検討中の地域拠点施設整備や皆楽公園再整備にも過疎債を充てたい考えがあった。

 両町はいずれも、指定を外れる可能性がある13市町の連名で11月に中央要望したほか、町議会議長らがまとめた過疎対策の継続支援などを求める意見書を臨時会で可決し、衆参両院議長や内閣総理大臣はじめ関係する各大臣に提出している。(岩見沢)

(北海道建設新聞2020年12月4日付13面より)


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