厚真、白老で検討進む 日胆管内市町の庁舎建て替え

2020年12月07日 10時00分

 胆振、日高管内の合計4市14町の市役所、役場庁舎の建て替えに向けた検討状況が、本紙調査によりまとまった。西胆振地域では登別市が建て替えの実施設計に着手し、東胆振地域では厚真町と白老町が庁内で対応を検討中。一方、日高管内の自治体では今後想定される巨大地震に伴う津波への対応が大きな課題となっている。

 地域別に見ると、西胆振(3市3町)では、室蘭、登別、伊達の3市全ての市役所本庁舎が未耐震となっている。

 室蘭市は2019年度末にまとめた市公共建築物長寿命化計画の個別施設計画で、市本庁舎の建て替え時期について25年度着工、27年度供用開始と明記。同市では現在、公共建築物の老朽化などに伴う建て替え工事を近年数多く発注していて財政を圧迫している状況。慎重な施設規模の検討などが求められている。

 伊達市も同時期にまとめた個別施設計画で、本庁舎の継続利用を主軸としつつ、25年度まで改修と建て替えの検討を進める方針。

 登別市では本庁舎建て替えの実施設計が進んでいるが、このほど北海道が示した津波浸水予測図の見直しに伴い、基本計画などの再検証が必要となった。着工時期は21年度に示す考えだ。

 このほかの3町では、壮瞥町と洞爺湖町の本庁舎は比較的建設が新しく、耐震基準を満たしている状況。洞爺湖町の総合支所は06年度、洞爺温泉支所は07年度に、豊浦町は12年度に本庁舎の耐震改修を済ませている。

 東胆振(1市4町)では、厚真町が各課の課長職で構成する検討委員会をことし5月に設置。これまでに複数回にわたり委員会を開催し、庁舎の建設地などについて検討を進めているほか、周辺の公共施設の状況に関しても課題を洗い出している。同町では、北海道胆振東部地震の発生前から建て替えの構想はあったが、地震を受けて当初の計画を一部見直した。

 1955年に庁舎を建設した白老町でも、ことし8月に検討委員会を設置。委員会に専門委員会を置き、建て替えに向けた検討を重ねている。老朽化だけでなく、今後の津波被害なども想定されるため、庁舎建て替えは急務で、早ければ年度内にも基本構想をまとめる考えだ。

 むかわ町は本庁舎は新しいが、胆振東部地震で被害があったため、20年度に災害復旧を実施した。

 日高管内7町を見ると、日高町は門別地区にある本庁舎が75年に建設。耐震基準は満たしていない。ことし政府が発表した日本海溝、千島海溝地震想定によると、役場庁舎は最大で6・8㍍の津波に襲われる可能性があるが、建て替えや移転の具体的な見通しは立っていない。

 同町は本町地区に管内の庁舎で最も古い、63年建設の総合支所を有する。老朽化が進んでいることから、町の個別施設計画では10年以内に建て替え、または統廃合する対象となっている。

 平取町庁舎も未耐震。供用開始から55年を迎えるが、建て替えなどの計画はない。このほかの5町の庁舎は、耐震基準をクリアしている。

(北海道建設新聞2020年12月4日付13面より)

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北海道建設新聞2020年12月4日付13面には、胆振・日高管内の4市14町、支所を含む28施設の庁舎の規模と建設年度、耐震状況についてまとめた表を掲載しています。

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