北見工大環境・エネルギー研究推進センターは、北大水産学部付属練習船「おしょろ丸」による共同利用航海をし、十勝沖の海底表層に存在するメタンハイドレート採取に成功した。本道周辺海域で表層型メタンハイドレートが採取されたのは、網走沖に次いで2カ所目、太平洋側では初めて。
表層型メタンハイドレートは、水分子で構成される籠の中にメタン分子が入っている低温高圧下で安定な結晶固体。水深350m程度より深い海底表層堆積物の中に一定濃度以上のメタンが存在するとメタンハイドレートが生成される。海底付近に存在するものを表層型と呼ぶ。
同センターは11月3日から8日にかけて共同利用航海を実施。十勝沖の東西約14㌔、南北約48㌔の範囲でマルチビーム音響測深機による海底地形調査とメタンプルーム観測調査、重力式コアラーを使った海底堆積物のサンプリング調査などに取り組んだ。
水深935mの海底で重力式コアラーにより表層型メタンハイドレートの採取に成功。採取されたメタンハイドレートを分析した結果、結晶に含まれる99%以上がメタン生成菌によってつくられたメタンであることなどが分かった。
同大は今後、採取されたメタンハイドレートやその他採取物を分析することで、十勝沖のメタンハイドレート生成メカニズムの解明が格段に進むことが期待されるとしている。
(北海道建設新聞2020年12月16日付7面より)