創業45年へ各業務もっと成長
札幌施設管理(本社・札幌)は、公共施設の保守管理や民間企業のビルメンテナンスを手掛ける会社。近年はロボットを使った配水池の内部調査や、高感度センサーを用いた水道管路の漏水監視など事業の幅を広げている。このうちマンションやビルなどに通る配管の寿命をエックス線で調べるSPT配管診断は、国土交通省の第4回インフラメンテナンス大賞の優秀賞に選ばれた。
工成舎(本社・札幌)など3社の出資で1976年に創業した。事業は公共施設の維持管理や保守が中心。現在の田中芳章社長は水道行政で培った機械設備に関するノウハウが買われ、2011年から同社の指揮を執る。従業員数はパートを含め116人になる。
公共中心の維持管理の仕事だけでは将来先細りすると考え、徐々に事業領域を広げていった。手始めとして、配水池のロボット調査や清掃に取り組んだ。日本水中ロボット調査清掃協会に加盟し、全道の自治体が保有する浄水場内の配水池を清掃して回った。
次いで、SPT配管診断に力を注いだ。ビルやマンションなどの配管にエックス線を照射し、得られた透過デジタル画像から内部のさびの状況や腐食の深さを高精度に数値化する技術。「建物配管の寿命診断」のキャッチコピーを掲げ、全国各地で実績を伸ばしている。
診断結果は保全計画書としてまとめ、健全度をSからDまで5段階で表す。工程表や概算工事費などを示すことで、施主が設備の長寿命化計画を立てやすいよう配慮している。
水道管路漏水情報管理システムのAIMS(アイムス)も扱う。管路上の仕切り弁などに漏水監視ユニットを設置し、センサーによって漏水の振動を検知する仕組み。従来のように音聴棒を使う作業員の聴覚に頼らず、漏水箇所を定量的に絞り込みできるため、管理コストの低減策として注目された。
昨年は、技術者の人材サービス「SSKキャリアセンター」を立ち上げた。受注機会による企業間の人材ミスマッチを解消するのが狙い。仕事を多く抱える企業は同センターに応援人員を依頼し、逆に仕事に恵まれない会社は同センターに人材を登録することで、互いがメリットを受けられるとみる。
教育研修から採用支援まで幅広く手掛ける。将来的には、自治体の水道事業に長らく携わった退職員などを募り、技術者確保に困る地域を応援したいと考えている。
施設の維持管理を土台とした高いコンサルティング力が支持され、SPT配管診断は国会議事堂など著名な建物の仕事を受けるようになった。11月は国交省の第4回インフラメンテナンス大賞で優秀賞に選ばれた。
来年で創業45年となる。田中社長は「これまでは新規事業の種まき段階で、これからは各業務をもっと成長させる期間にしたい」と話している。
(北海道建設新聞2020年12月21日付3面より)