現場残業45時間超が17% 道建協の労働環境調査

2020年12月24日 10時00分

依然として課題は長時間労働抑制

 北海道建設業協会は、道内建設業の労働環境に関するアンケートをまとめた。月当たりの平均残業時間は、事務所では15時間未満が77.2%なのに対し、現場は15時間以上で85.2%を占める。このうち2024年度から適用される時間外労働の上限規制に抵触する45時間以上は16.6%。各社は定時退社の呼び掛けなどに積極的に取り組んでいるが、依然として長時間労働の抑制が課題だ。

 このアンケートは全国建設業協会として都道府県協会の会員を対象に8月1日現在の状況を調査。道建協では、傘下の地方建協の会員企業に調査を依頼し、67.9%に当たる406社が回答した。

 働き方改革の取り組みに関しては、毎月の休日を毎年1日ずつ着実に増やす休日月1+(ツキイチプラス)運動の実施状況では、「4週8休制を導入」「取り組み中」「検討中」で8割弱を占める。公共工事設計労務単価の引き上げ分を下請け契約に確実に反映する単価引き上げ分アップ宣言についても「取り組み中」「検討中」で8割に達した。

 現場での月当たりの平均残業時間で、15時間以上とした回答の内訳を見ると「15時間以上30時間未満」の40.7%、「30時間以上45時間未満」の27.9%、「45時間以上60時間未満」の14.6%、「60時間以上」が2%となっている。「15時間未満」は14.8%にとどまり、全国平均と比べ38ポイント下回った。

 三六協定には6割弱が締結。協定で1年間で延長できる時間数は、現場では「260時間以上360時間未満」が3割弱で最も多かった。

 現場での週休日は主に「4週6休」が50.5%、「4週8休」が20.3%、「4週5休」が13.4%「4週7休」が11.9%の構成。4週5休以外は前年度より微増している。4週8休に取り組んでいる企業は社員の意識向上や施工効率化を重点的に進めている。

 女性社員の活躍に向けての取り組みは「女性の積極的な採用」や「子育て支援」などが主流。実際に女性社員を増やした企業は16.2%で全ての職種で増えている。女性のいる現場自体は技術者、技能者ともに3%台。このうち女子専用のトイレや更衣室を設ける現場は増加傾向にある。職場復帰に関する措置は「時間外労働の制限」や「育児短時間勤務制度」「子の看護休暇制度」などを取り入れている。

 技能者の賃金の支払いについては、月給制の企業が46.9%なのに対し、日給月給制の企業は36.6%だった。

 人材育成の各種方策の取り組み状況では、資格技能手当が76.5%、各種技能講習が90.4%に達した。建設リカレント教育は12.9%だが、「今後取り組む予定」とした企業は45.4%あった。

 外国人材では、26.6%が特定技能外国人を活用したい意向を示した。高齢者の人材活用は65歳以上の社員を雇用している企業が9割を占めた。

 建設キャリアアップシステムは、事業者登録については申請中を含めて25.3%が済ませた。しかし雇用している技能労働者に対しては登録していない企業が8割を占めている。

 新型コロナウイルス感染症対策は「うがい、手洗いの励行」「3密対策の実施」「マスク着用の義務化」を挙げる企業が多数。テレワークの実施は2割にとどまった。

(北海道建設新聞2020年12月23日付1面より)


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