ホテル、旅館 相次いで完成するも…
本格的なスキーシーズン開幕を控えた10月以降、ニセコではホテルや旅館の完成が相次いでいる。
香港資本のゼッケイグループによる「イントゥイション」、新日本海フェリーが手掛けた「ニセコ樺山の里 楽 水山」、ニセコビレッジの「東山ニセコビレッジ リッツ・リザーブ・ニセコ」、ヒラフ・キャピタル合同会社が進めた「山翠ニセコ」-。いずれも新型コロナウイルスが猛威を振るう中で建設を継続し、1年以上にわたる工事を経て竣工した物件だ。

11月末に完成した「イントゥイション」。
感染拡大を受け、限定的な営業を決めた
イントゥイションの施工を担当した中山組の黒川浩史第三営業部長は、作業員を含む関係者から感染者を出さず、工期内に完成できたことに安堵(あんど)する。基本的な対策を講じる一方、過度に厳しい規則は設けないよう配慮したという。「無理のない取り組みを継続し、一人一人の予防意識を高めることが重要だった」と振り返る。
工事は無事終わったが、開業は限定的にとどまる。今冬はオーナー不在時に宿泊客へ貸し出すホテルとしての営業を取りやめたほか、感染防止の観点から温泉大浴場の使用もストップした。
注目度の高い宿泊施設が次々に完成する一方、運営面では開業時期や内容について判断が分かれている。
楽 水山は1日にスケジュール通り全面開業した。3密を避けた宿泊環境を提供し、当面は国内からの集客を図る考えだ。「リッツ・カールトン」ブランドのリッツ・リザーブも15日にオープンした。
山翠ニセコは今冬の開業を見送った。引き渡しは完了しているものの、新型コロナ感染拡大の影響でインバウンドの回復が見込めないことから開業延期を決定。21年夏か冬のオープンを検討しているという。
政府は10月、中長期滞在者を対象に全世界からの新規入国者の受け入れを再開。ただ、観光目的の入国は依然として低水準が続く。足元では感染が再拡大するなど、回復の見通しは不透明だ。
近年のニセコを盛り上げていた外国人観光客がいない閑散とした今冬。普段とは異質な「書き入れ時」を迎える中、関係者らは手探りで最適解を見いだそうとしている。
(北海道建設新聞2020年12月22日付2面より)