コロナに揺れるニセコ 試練のリゾート開発

 新型コロナウイルスが世界経済に深刻な打撃を与えた2020年。道内屈指の国際リゾート地・ニセコで進む開発プロジェクトも、前例なき「見えない敵」に大きく翻弄(ほんろう)されてきた。感染拡大前に着工済みの宿泊施設が続々と完成を迎える中、開業時期見直しや工事中断による建設プランの遅れが発生。その一方で、アフターコロナを見据えた大規模な開発計画も浮上している。リゾート開発の現状を追った。(小樽支社・塚本 遼平)

コロナに揺れるニセコ 試練のリゾート開発(中)立ち往生が続く

2021年01月05日 15時00分

プロジェクト、工事中断や着工延期

 新型コロナウイルスの感染が道内で拡大して以降も大型宿泊施設の建設が進むニセコ。順調に見えるリゾート開発だが、着工前プロジェクトの中には工事中断や着工延期を余儀なくされる案件も出てきた。

ニセコモイワスキー場。
左手奥がアマンニセコの建設予定地となっている

 ニセコモイワスキー場のゲレンデに隣接した土地22㏊で、外資系不動産開発のウェルスプリング・リアルティ・インベストメンツが高級ホテルと別荘の新築を計画している。ホテル1棟は最上級ブランドが運営する「アマンニセコ」とし、2023年末までの完成予定だった。

 19年春から造成に入り、防災工事は完了したものの新型コロナウイルスの影響で工事は中断している。事態が落ち着いてからの再開を見込むが、具体的なタイミングは不透明。完成も1年程度延期となるもようだ。

 同社の水間信勝社長は、一時中断に関して「工事を進めるメリットとリスクをトータルで判断した」としつつ、「メインの購買層である外国人の来日が今冬は難しく、販売活動が円滑にできないことが大きな問題の一つ」と説明する。

 ニセコ開発の中心的エリア、倶知安町のひらふ坂付近で香港の不動産開発会社メトロポリー・ホールディングスが構想中の大型複合施設「アルクザカストリート」も建設に足踏み状態が続く。

 2・9㏊の敷地に延べ5万3000m²、計13棟の新築を予定。高級ホテルブランド「アマリ」を冠したホテルのほか、コンドミニアムや飲食店が立ち並ぶ一大プロジェクトとして注目される。20年の着工を見込んでいた。

 しかし、新型コロナウイルスの世界的な拡大を受け、工事開始の延期を決定。新たな着工時期のめどは立っていない状況だ。

 町内からはプロジェクトの実現性を疑問視する声も上がる。一方、メトロポリー・ホールディングスでクリエイティブ・サービス・オフィサーを務めるミシェル・リー氏は「感染リスクが軽減し次第、速やかに建設をスタートできるよう調整を進めている」とし、あくまで前向きな姿勢を崩していない。

 ニセコの投資動向に詳しい北海道銀行NISEKO出張所の葛西英剛所長は「着工延期などの事例は他にも数件把握している」とし、「海外在住の物件購買層だけでなく事業者もなお来日が難しい。投資家の本業も落ち着かず、やや資金も集めにくくなっているのでは」と停滞要因を推測する。

 名だたるホテルブランドの進出計画は、ニセコが国際的な観光地として底知れぬポテンシャルを有している証左だ。さらなる発展の阻害要因となりつつある新型コロナウイルスへの懸念は、いつ払しょくされるのか。事業者らは一刻も早い収束を切望している。

(北海道建設新聞2020年12月23日付2面より)

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