2020年3月に事業認可を受け、東日本高速道路北海道支社が4車線化を進める道東自動車道占冠IC―トマムIC間約19・9㌔で調査測量などの工事準備が着々と進んでいる。これまで区間を4エリアに分けた占冠西・占冠東・下トマム・上トマム地区の地質調査や、占冠・トマム地区の詳細測量などが発注済み。20年度第4四半期(21年1―3月)から設計の公告も順次予定しており、第1弾として東占冠トンネル詳細設計が公告中だ。現在は測量調査が進み、設計が完了次第、21年度以降の工事へと着手していく予定だ。
占冠IC―トマムIC間は延長26・2㌔で、4トンネル、19橋梁が設置されている。そのうち、4トンネル、18橋を含む暫定2車線の約19・9㌔区間で4車線化を実施する。総事業費は約970億円を予定している。
現在区間内にあるトンネルをまとめると、占冠IC側から東占冠トンネル(2493m)、滝の沢トンネル(999m)、ホロカトマムトンネル(1989m)、下トマムトンネル(754m)と続いている。
付加車線区間の橋梁は、十線の沢川橋を除く18橋が架かる。現在の橋長が200mを超える長大橋はシム川橋(200m)、滝の沢川橋(214m)、トマム跨線橋(225m)の3橋。実際に工事を行う橋は、今後の調査設計次第で決定する。
同区間は09年10月に暫定2車線で供用を開始したが、長いトンネルが連続し、対面通行のため重大事故が発生しやすいという問題がある。また、16年8月の台風により国道274号が不通となった状況下では、国道復旧までの約1年間、代替道路として札幌都市圏と十勝圏をつなぐ生命線にもなり、4車線化が急がれたという経緯もある。
事業期間について同社は、工事内容などの精査を進め確定していくとしている。一方、国土交通省の資料によると橋梁・トンネルなどの構造物整備を含む4車線化の事業完了には10年程度を要するという指標もある。
道東道では、占冠IC―トマムIC間の拡幅に先行し、トマムIC―十勝清水IC間の付加車線設置約9・5㌔が19年3月に事業許可を受けている。同区間内では19年9月から約3・1㌔の延伸部の運用が開始。広内トンネル(944m)、広内川橋(218m)、ペンケオタソイ川橋(293m)、ペケレベツ川橋(146m)などを含む残り約6・4㌔の工事を急ぐ。
同区間では調査設計に続いて、初弾工となる道東自動車道新得清水地区付帯が施工中。本工事となる新得工事・清水工事の2工事は当初、20年度第4四半期の公告を見込んでいたが、発注予定から外された。21年度以降へ延期されたとみられるが、延期理由・新たな公告時期は公表していない。
(北海道建設新聞2021年1月13日付1面より)