深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り マクアケ関西支社長 松岡宏治氏

2021年01月15日 10時00分

松岡宏治支社長※写真は同社提供

目的見極めた使い方を

 事業計画をネットでアピールし、共感した人から資金を募るクラウドファンディング(CF)が根付いてきた。最近では個人や市民活動の資金集めだけでなく、企業によるマーケティング目的の利用など、使われ方が多様化している。専用サイトを運営し、集まった資金の一定割合を得るのがCF業者だ。業界大手のマクアケ(本社・東京)で、首都圏外の営業を担当する松岡宏治関西支社長にCFの今を聞いた。

 

 ―コロナ禍で消費者の在宅時間が長くなり、CFサイトを見る人も増えているのでは。

 その通りで、当社で言えば昨年1―3月期のユニークユーザーは500万人だったが、国の緊急事態宣言などとも重なった4―6月期は倍増して1000万人になった。

 さまざまなプロジェクトへの支援に関心を持つ人はもちろんだが、買い物目的でサイトを訪れる人が増えているのが近年の傾向だ。Makuakeサイトは「アタラシイものや体験の応援購入サービス」と打ち出していて、一般に出回っていない商品の生産プロジェクトが数多く並ぶ。消費者からは、珍しいものを買えるショッピングサイトとしても認識されている。

 ―CFを必要とするのは資金不足のプロジェクトが多そう。品質や実現性を不安視されないか。

 個人やスタートアップが資金を集める印象を強く持たれているかもしれないが、最近は知名度の高い企業にも使われている。北海道なら今、石屋製菓が新発売のロールケーキの先行販売目的でマクアケを利用している。企業からすると、ある製品にどんな消費者が関心を示すのかデータを見られる。資金集めより、テストマーケティングを目的とする使い方だ。道内の新しい酒蔵、上川大雪酒造もCFのマーケティング機能を効果的に使った経緯がある。

 ―事業を紹介する文章・写真に魅力がなければCFは成功しにくい。ノウハウの少ない個人や小規模業者は制作を助けてもらえるのか。

 確かに「別の写真を使っていたらもっと金額が上がったかも」などと思う案件は出てくる。ただ当社はアドバイスはするが、全ての案件を平等に扱う原則から、コンテンツを制作することはしない。実際には、事業者それぞれが何度かCFに挑戦する中でノウハウを蓄積し、スキルを上げる例が多い。

 ―北海道銀行や帯広信用金庫を含む全国の地域金融機関と業務提携している。どんなシナジーが。

 地元のプロジェクト実行者を、金融機関から紹介してもらっている。当社サイトで自ら登録してくれる例も多いが、当社単独ではリーチできない案件を扱えるのがありがたい。金融機関は、サイトでの人々の反応からプロジェクトの事業性を判断し、将来の融資などにつなげることができる。

 ―今後、どのようにサービスを広めるのか。

 作ってから世の中に流通して売っていくと、どうしてもロスが発生してしまう。CFによりプロジェクトを先に発表して、ある程度当たりをつけながら作っていければ、サステナブルなものづくりができると思う。こうしたことを全国に拠点を立ち上げながら進めたい。

 将来的には世界の人たちがマクアケのサイトを見て、物を買うようになればいい。今は中国のメーカーが日本に参入する時に、マクアケを活用して反応を見ている。これを日本発、世界へという新たな流れを作れれば、よりサービスが広がると考えている。

(聞き手・武山 勝宣)

松岡宏治(まつおか・こうじ)1992年4月23日生まれ。2015年早大卒。ITベンチャー企業を経て16年にマクアケに入社。関西支社2人目の社員として事業拡大に貢献。国内メーカーのプロジェクトを中心に、過去800件以上のプロジェクトを担当した。

(北海道建設新聞2021年1月14日付2面より)


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