最懸念は公共事業の見通し 20年度景況感等アンケート

2021年01月26日 10時00分

新卒採用者数は右肩上がり

 北海道建設業協会は、会員企業を対象とした2020年度景況感等アンケートの結果をまとめた。最も懸念することについては「今後の公共事業の見通し」で前年度より15ポイント伸び37.1%と最も多かった。コロナ禍により国内経済が低迷する中、各社は公共事業の動向を注視している。一方、担い手確保を課題とする回答も一定数あり、20年度の新規卒業者の採用は454人と16年度から右肩上がりの状況が続くなど、若手技術者を求める動きは変わっていない。

 毎年12月に完工高の増減や金融機関の融資対応、最近の資金繰り、利益の確保状況、新卒者の採用状況などを調査しているもの。今回は支店、営業所を除いた会員企業591社に依頼し、410社(回答率69.4%)が回答した。

 完工高に関して前年度と比べ金額が「増えた」と回答した企業は88社、21.5%で前年度より6ポイント下降した半面、「ほぼ横ばい」との回答は187社、45.6%で6ポイント上昇した。この動きについて道建協は「北海道開発事業費自体が前年度と同規模だった影響」とみている。「減った」としたのは135社、32.9%で前年度と同率だった。

 「増えた」と回答した企業のうち、増加量は「5%程度」「10%程度」が各19社で最も多く、次いで「20%程度」が18社だった。「減った」企業の減少量は「10%程度」の54社が最多。これに「15%程度」の20社、「5%程度」の17社が続く。

 完工高の金額については、10億円以上20億円未満の企業が最多で27.6%。前年度より4.7ポイント上がった。5億円未満の企業は3.6ポイント減の24.9%、5億円以上10億円未満の企業は0.4ポイント減の25.9%となり、10億円未満が208社、50.7%。前年度を4.1ポイント下回ったが全体の半数を保つ形になった。50億円以上は前年度と同じ25社で、20億円以上50億円未満は前年度比2社減の64社だった。

 最も懸念することとしては、「今後の公共事業の見通し」が37.1%で1位。以下は「高齢化による人手不足」の31.7%、「若年技術者の育成・確保」の29.8%と続き、依然として担い手確保が大きな課題となっている。

 新卒者の採用実績を見ても、各社が積極的な獲得に動いている様子がうかがえる。20年度は高校、専門学校、大学(大学院含む)の新卒者454人を採用。国土強靱化により事業量が増加していることも相まって16年度から上昇傾向が続いている。

 ただ採用者数を採用予定者数で割った充足率は84.5%で前年度より1.9ポイント減少。実際の採用は相変わらず厳しさがある。

 21年度については、303社が採用の意思を示し、高卒322人、専門学校卒72人、大学(院)卒184人の計578人を採用したい考えだ。前年度の採用予定者数と比べると7.6%増え、コロナ禍にあっても人員確保を抑える動きは見受けられない。

(北海道建設新聞2021年1月25日付1面より)


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