ドローンとマルチビーム測深システムで水中を可視化
測量調査業務を展開するアミューズ(本社・札幌)は、産業用水中ドローンとマルチビーム測深システムを併用した水中の可視化を提案している。人が潜水するのが難しい場所で、より安全に効率良くデータ収集が可能だ。水産資源のモニタリング調査や漁港などの維持管理に効果があるという。
潜水士に頼る人工魚礁などの調査で、高齢化に伴う人材確保が難しいことや労力を考慮して水中ドローンによる調査に着目。国の補助金を活用し、産業用水中ドローン「DiveUnit300」と、Microsoft社の「HoloLens(ホロレンズ)2」を導入した。
DiveUnit300は、筑波大発のスタートアップで産業用水中ドローンなどの企画開発・製造・販売を手掛けるFullDepthの製品。7基の推進器を備え、最大潜行可能深度は300mだ。本体重量は約28㌔と運びやすく、ゲーム感覚で簡単に操作可能。本体と船上の通信に使うのは3・7㍉の光ケーブルで、細いため潮流の抵抗を受けにくい。バッテリー満充電時で4時間稼働できる。
導入済みのマルチビーム測深システム「NORBIT iWBMSh」と併用することで、さらなる水中可視化を実現させる。マルチビーム測深システムは、音波を扇状に発振し、音波が海底にぶつかりはね返ってくるまでの時間を測ることで水深を計算する。面的に詳細な地形形状が分かる。
水中ドローンで取得した映像データと、マルチビーム測深システムにより取得した3次元形状データを連携させ、地理情報システム(GIS)の水中版をつくることを提案。HoloLens2を使い、仮想空間上でデータを展開・可視化することもできる。
今後、本格的に業務展開を始める。佐藤之信取締役は「水産資源のモニタリング調査や漁港などの維持管理、機能保全に関する調査にも有効だ」と話している。
(北海道建設新聞2021年1月27日付3面より)