総務省の20年労働力調査
総務省の2020年労働力調査(速報値)によると、道内建設業の就業者数は前年比10・5%減の22万人で、4年ぶりの減少となった。一方、65歳以上の就業者は初の5万人台に乗った。高齢者の就業割合は22・7%と2割を超えていて、この10年で倍増したことになる。コロナ禍による経済沈下に伴って求人倍率が低下するなど労働市場も混迷から脱出できていないのが現状で、建設業の雇用も厳しい情勢が続きそうだ。
就業者から自営業者や家族従事者を除いた雇用者数は、5%減の19万人。雇用者数の比較でも65歳以上は3万人から4万人に増大していて、構成比は21・1%とやはり2割を超えている。
過去10年間の道内建設業就業者数を見ると、13年が最小の20万人だったのに対し、18、19年が最多の23万人と増加傾向だったが20年は減少に転じた。一方、65歳以上の高齢者の就業者数は11年が2万人台だったところ、14年には3万人、18年には4万人と一貫して増加傾向にあり、20年は初めて5万人台に乗せた。
就業者数に対する65歳以上の割合を見ると、11年は9・1%にとどまっていたものが、15年には13・6%、18年には17・4%と上昇を続け、20年は22・7%と初めて2割を超えた。
道内の全産業就業者数は1・5%減の262万人だが、65歳以上は2・8%増の37万人(構成比14・1%)に増加。全国の建設業も同様に総就業者は1・4%減の492万人に対し、65歳以上が2・4%増の84万人(17・1%)で、道内産業界も建設業界も高齢化の傾向は明白だが、構成比では道内建設業が突出して高く、全国に先駆けて高齢化が進んでいる実態がうかがえる。
道内の有効求人倍率も4月から1倍を下回る状況が続く。20年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛などにより、小売り・飲食を中心に業績が低迷し、求人数が減少したためだ。
一方の建設業の12月の有効求人倍率は、建築・土木・測量技術者が6・07倍、型枠・とびが5・23倍など、前年に比べ倍率は下がったものの依然として高止まりが続く。慢性化した人手不足が続き新規就業者が増えない場合、一層建設業界の高齢者割合が増加することも懸念される。
(北海道建設新聞2021年2月2日付1面より)