コロナ禍で、自宅で食事を取る機会が圧倒的に増えていると思います。そうなると、毎日のメニューに気を配ることが多くなります。家庭料理は、一汁三菜が基本であると、よく言われます。一汁三菜とは、ご飯のほか、味噌汁などの汁物、魚、肉などの主菜、野菜や海藻、豆類を組み合わせた煮物などの副菜、漬物やあえ物などの副々菜を膳に並べることを指します。食卓がにぎやかとなり、さまざまな食材を食べることができ、豊かな気分になります。ただ、ご飯を炊くこと以外に、3種類の料理を作らなければならないとすれば、それ相当の手間がかかるといえます。適宜、インスタント食品や作り置き総菜などを利用することになるのでしょうか。
さまざまな食材を一度に食べることになるのですから、栄養の観点から考えると、栄養豊富でバランスのとれた食事になると期待できます。とくに、肉や魚などの主菜に偏りがちな食事に、野菜、海藻、豆類が加わり、ビタミンやミネラルがより多く取れそうです。そこで、実際に家庭での一汁三菜の食事は、どのくらいの栄養となるのかの調査研究が行われました。そうすると、意外な結果が明らかになりました。
まず、一汁三菜は脂質と塩分が過剰になりやすいということです。言うまでもなく一汁三菜は和食が中心となります。味噌汁、漬物、煮物など塩分を多く含むメニューが多くなりますし、醤油の使用も多くなるでしょう。
しかし、脂質も多くなるとは意外です。副菜、副々菜で味の変化があるので、主菜である肉や魚を多く食べてしまう可能性があるのでしょうか。一汁三菜は意外と食べ過ぎになりやすいのかもしれません。
また、和食中心のメニューになるので、果物や乳製品を取り入れにくく、ミネラル、特にカルシウムが不足がちになりやすいことが調査で明らかになりました。しかし、一汁三菜を食べた後で、牛乳を飲むのでは、カロリーがオーバーになる危険性もありますね。小魚を加えるなどメニューの工夫が必要です。
毎日一汁三菜でなくても、たまには一品料理というのも加えると、量を加減できて、変化も楽しめると思います。基本は一汁三菜で家庭料理を楽しみましょう。
(札医大医学部教授・當瀬規嗣)