両国川第二橋周辺から中新得川橋周辺まで
東日本高速道路北海道支社は、道東自動車道トマムIC―十勝清水IC間の付加車線設置が進む約9・5㌔以外の区間で、4車線化に向けた本格的な検討を始める。検討範囲は、狩勝第一トンネル(2351m)・狩勝第二トンネル(2576m)の2トンネルを含む、両国川第二橋周辺から中新得川橋周辺までのエリア。新設区間の事業許可はまだ下りていないが、国土交通省が全国を対象とし2019年9月に策定した高速道4車線化の優先整備区間約880㌔に含まれている。
公告した「令和3年度道東自動車道帯広管内道路構造検討」で事前検討を進める。トマムIC―十勝清水IC間の約20・9㌔のうち、19年3月に事業許可が下りた付加車線設置約9・5㌔は、事業費300億円をかけて工事が進む。このうち約3・1㌔が19年9月に開通済みで、残る約6・4㌔は現在施工中だ。
今後、検討を進めるのは付加車線設置がない残りの暫定2車線の区間。今回の検討の概要としては、道路詳細設計2・87㌔、ボックスカルバート設計3基、パイプカルバート設計2基、擁壁2断面、狩勝第一トンネル設計2・35㌔、3次元現況モデル作成28万m²が提示されている。開札日は未定とされているが、発注見通しによると21年度第1四半期(4―6月)を予定。履行期間は450日としている。
高速道路の4車線化は、現在国を挙げての優先課題となっている。19年9月に国交省は「高速道路における安全・安心基本計画」を策定し、4車線化を計画的に推進するため、課題の大きい区間約880㌔を優先整備区間に指定。その中から、財源確保状況等を踏まえ、順次事業化するとした。道内では、道央道八雲―国縫間の約17㌔、伊達―登別室蘭間の約18㌔、和寒―士別剣淵間の約14㌔、道東道千歳恵庭―十勝清水間の約87㌔が優先整備区間に選定。このうち19年3月に事業許可が下りた道東道のトマムIC―十勝清水IC間の約9・5㌔、20年3月に事業許可が下りた占冠IC―トマムIC間の約19・9㌔で先行して4車線化が進められている。
さらに、国交省は20年12月に、災害に強い国土幹線道路ネットワークを構築するため、高速道路の4車線化に重点的に取り組むことを決定。優先整備区間約880㌔について、25年度の4車線化事業着手率を47%(19年度で13%)に引き上げるとしている。
道東道は、16年8月の台風により国道274号が通行止めになった際に復旧までの約1年間、札幌圏と道東圏をつなぐ代替道として活躍した。その一方、暫定2車線として供用が開始されたため、対面通行による重大事故が発生しやすい状況や、通行止めが起こりやすい現状もある。災害時を見据えた強靱化や移動の時間短縮を実現するため、4車線化が急がれている。
(北海道建設新聞2021年3月1日付1面より)
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