経営を見つめ直す機会に
新年度が近づいてきています。弊所が注力している業務の一つに、補助金の申請支援があります。補助金は年度単位で動いていることが多いので、この時期は情報収集に忙しくなります。
私は、事業者の方に補助金に関する情報収集、申請をお勧めしております。今回は、補助金の申請をお勧めする理由をお伝えいたします。
その前に補助金とは何かについてご説明いたします。補助金とは国、自治体などから給付されるお金です。支給を受ける手順は、たいていは同様です。まず事務局への申請を通じて、事業者のお金の使い方を決めます。その後、物品の購入や展示会への出展などを行い、領収書等をそろえて申請をすると補助金が支給されます。
一般的に、事業(何をするのか)の評価はなく要件を満たしていれば支給されるものは助成金と呼ばれ、申請の段階で事業を評価し、支給対象者を選別するものは補助金と呼ばれます。
昨年来、有名となった雇用調整助成金は雇用を維持するために従業員を休ませれば支給されるものであり、その際にどの程度の休業により事業者においてどのような効果を上げることを目標にするのかは問われません。
一方、補助金は、補助金の定める目的に従って、事業者における売り上げ増加や業務効率化の目標を数値化し、目標の明確性や経費支出の合理性などを事務局が判断して採択されます。
国などが補助金を支給する目的は、国などの定めた政策目標を達成させるためです。例えば国は、今後の人口減少社会に備え、IT化による業務効率化を推進しています。そのため、IT機器を導入する企業に対して、導入に必要な経費の一部を補助しています。
自社の今後の計画が国などの定めた政策目標と合致していれば、その費用が補助されます。政府の方針を自社とは無関係なものと捉えずに、よりよい事業者となるために、そしてよりよい社会を築くために、補助金のメニューを確認してみてください。今後の事業の方向性が見つかるかもしれません。
もう一つの理由は、申請の過程にあります。申請書を作成するまでの努力が、ご自身の経営を見つめ直す最適な機会となるはずです。
自社の強みは何か、市場動向はどのようなものか、事業を通じて何を達成するのか、それはどのように経営に寄与するのか。そのようなことを数字と文章で伝えるのが申請書です。
文字にすることは考えを整理する最適な機会となります。私が支援するのは、まさにそこです。漠然と考えている今後の事業展開を詳しくお聞きし、市場全体の流れの中で位置取りをし、俯瞰(ふかん)的に文章にします。未来に対する希望が湧くと好評です。
あらためて自社の経営を見つめ直す機会として、補助金の申請をご検討ください。
(北海道建設新聞2021年3月4日付3面より)