民間工事「悪化」8割 本紙の道内主要ゼネコン調査

2021年03月08日 10時00分

コロナ、建設業にも向かい風

 北海道建設新聞社は、新型コロナウイルスの渦中にある道内建設業の実情や今後の展望を探るためアンケートを実施した。2021年度以降の受注見通しは、公共工事で半数以上、民間工事では8割が悪化すると回答。飲食業や観光業など他の業種と比べ、感染症の影響が少ないとされる建設業にも向かい風が吹いている。これまでに受けたコロナ禍の影響は「社内の会議、出張などの制限」「営業活動の制限」「感染防止対策費の増加」「受注の減少」などが上位だった。

(建設・行政部 大坂力、佐々木潤、仲道梨花、出崎涼記者)

 道内に支店・営業所を置く道外企業を含む主要ゼネコン290社にアンケートした。1月21日から2月12日までに192社から回答が寄せられた。回答率は66・2%だった。

 20年度上半期(4―9月)の受注額を尋ねたところ、前年度同期より「やや減少」「減少」と答えたのは38・2%、「横ばい」は36・1%と拮抗(きっこう)するが、「増加」「やや増加」は25・7%と若干少なかった。

 しかし、20年度下半期(10―21年3月)は20年度上半期と比べた場合、「やや減少」「減少」は52・1%と半数以上に拡大し、「横ばい」は35・9%にとどまる。一方、「増加」「やや増加」は12%まで激減した。公共工事の発注は年度前半に集中する点を考慮する必要はあるが、コロナ禍の影響も少なからずあると考えられる。

 受注の実感については「想定通り」が54・2%を占めたが、「想定より悪い」が37%あり、春先の想定が覆った企業も多かった。

 21年度以降の受注見通しに関しては、公共工事では「やや悪化」が42・2%で最も多く、13・5%の「悪化」と合わせて半数を超える。「変化なし」は39・6%で、前向きな回答は「やや改善」の4・7%しかなかった。

 民間工事はさらに悲観的で、「やや悪化」が53・2%、「悪化」が27・9%で合計8割に達し、「変化なし」は14・7%にとどまる。

 ただ、21年度の受注規模に対する人員の見通しを聞くと、「不足」「少し不足」で6割以上に積み上がる。コロナ禍で受注の不透明感が増しているものの、従来からの人手不足感は依然として続いている。

 コロナ禍の影響(複数回答)は、上位から「社内の会議、出張などの制限」が77・1%、「営業活動の制限」が66・1%に上る一方、「受注の減少」は29・2%の回答があった(=グラフ)。

 21年度の北海道開発事業費は、当初では前年度比で0・5%微減し、11年度当初以来の減額となったが、20年度第3次補正予算を含めた「15カ月予算」では0・8%増の7618億800万円となった。この開発事業費の感想を求めたところ「コロナ対策費が増大する中、相応の予算確保となり経済けん引の一翼を求められている業界と受け止めている」など肯定的な答えがある一方、「当初予算が減額になったことは残念。当初予算の増額が本来であれば重要」「当初予算の減は、次年度以降も影響があるように感じる」と、22年度以降の予算編成を不安視する声も多く寄せられた。一部では「民間需要の喚起が急務」との指摘があった。

 ただ「労務者が減っている中で予算が増えても業界的に対応できるか心配」という見方もある。経営上の課題を聞いた設問でも従業員の高齢化や技術社員の確保、事業承継などを含めて人材の確保・育成を挙げる企業が圧倒的に多かった。道内建設業が各地域で生き残るには公共工事予算の安定的な確保が必要不可欠だが、人材の問題も依然として根深い。

(北海道建設新聞2021年3月5日付1面より)

 この記事の続きは2021年3月5日付の北海道建設新聞に掲載しています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナーをご覧ください。


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