新年度に向け、鋼材や生コンなど建設資材の値上がりが目立つ。鋼材は原料の鉄鉱石や石炭の価格が高騰しているためで、形鋼や鉄筋のほか、配管用鋼管や空調用銅管の価格が上昇。生コンは最大市場の札幌で4月以降、1m³当たり2200円の大幅上昇が予定されている。設備向けの配管類やバルブも販売価格が上昇し、ユニットバス、キッチンなど住宅用建材も大手メーカーを中心に値上げになる見込みだ。
H形鋼や異形棒鋼など鋼材は、年明けから値上がり傾向が高まっている。中国の鉄鋼生産が2020年度後半から高水準になり、原料の鉄鉱石や石炭の価格が高騰したためだ。
経済調査会の調べによると、札幌地区の異形棒鋼(SD295A D16)の価格は1月に1㌧当たり2000円、2月に3000円上昇し、8万円を付けた。H形鋼(200×100×5・5×8㍉)は1月に1000円、2月に3000円上昇し、9万4000円となった。
配管用の鋼管は2月に値上がりした。日本製鉄は、国内店売り向け炭素鋼鋼管の全品種を1㌧当たり現行より1万5000円値上げ。JFEスチールも2月契約分から同値で改定した。
エアコンに使う被覆銅管は2月下旬から20%ほど上昇した。一般配管用ステンレス鋼管は10%程度の値上がり傾向にある。バルブも4月以降、材質によって5―20%の値上げが予定されている。
札幌市内の配管用資機材販社は「コロナ禍でホテルや飲食店の工事が保留になったり中止に追い込まれる中、製品価格の上昇は厳しい。最近は人件費など現場経費が上昇しているため、納品先の建設会社の理解は得にくい。施主や発注者に、値上がりの状況を根気よく伝えるしかない」と訴える。
生コンは、最大需要地の札幌で4月から値上がりが予定されている。1m³当たり2200円値上がりし、普通コンクリート標準物(呼び強度21、スランプ18cm、粗骨材20㍉)で1万5500円となる。これまで札幌は他地域に比べ価格水準が低かったため、実質的には全道生コン市況の底上げにつながる。
札幌生コンクリート協同組合は現場の混乱を避けるため、21年3月末までの契約物件には現行価格を適用し、現場への荷動きが6月末までなければ新価格を用いる。このため、市況への本格的な反映は夏ごろになりそうだ。
LIXILは4月1日受注分から、住宅用建材のメーカー希望小売価格を値上げする。改定率はユニットバス1―3%、トイレ5―15%、キッチン2―13%など。原材料価格や物流費の高騰が理由だ。
アスファルト舗装材料の一つ、ストレートアスファルトの価格も高騰している。世界的な原油相場が上昇傾向にあるためで、石油元売りの卸価格は3月から大幅上昇を続けている。国産ナフサ価格の上昇を背景に、塩ビ樹脂の販売価格も値上がり傾向にある。
(北海道建設新聞の2021年3月12日付3面より)