3.11が伝えた教訓 東日本大震災10年

 10年前の東日本大震災は、世界中に大きな衝撃を与えた。

 マグニチュード(Mw)9の巨大地震が引き起こした津波は多くの犠牲者を出し、福島第1原子力発電所の深刻な事故をもたらした。関連死を含め死者2万人近くに上る戦後最悪の災害だ。この震災は日本が地震大国であることを再認識させ、併せて、災害対策の不十分さも露呈させた。

 海溝型地震が現実的な確率で示されている本道。「3・11」を忘れず、その教訓を生かすことが求められている。(東日本大震災から10年取材班)

3.11が伝えた教訓 東日本大震災10年(3)脱炭素社会へ再生エネ前進

2021年03月20日 15時00分

求められる電力供給体制再構築

震災を機に停止した泊発電所(北海道電力提供)

 震災は国内エネルギー供給の脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにした。福島第1原子力発電所の被災は重大な原子力事故につながり、全国の原発が次々と停止に至った。北海道の泊発電所も2012年5月の3号機定期検査を最後に全ての運転を止めた。泊発電所は道内で使用される電気の4割を担っていたが「停止以降は7割程度を火力発電が占める」(北海道電力担当者)という。機運が高まる脱炭素社会実現と相まって、震災を契機に電力供給体制の再構築が求められている。

 原発停止後、供給力不足や計画停電をはじめとした需要抑制など電力に関する課題が顕在化。国は広域系統運用の拡大、小売り・発電の全面自由化、法的分離方式による送配電部門の中立性確保など改革に乗り出した。

 12年に始まった固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギー普及の火付け役となった。道内では、ソフトバンク、国際航業、三井物産など大企業が日射量豊富な道東を中心にメガソーラー建設計画を表明。太陽光発電は脱原発議論の高まりとともに急速に成長し、12年度に2万4000㌔㍗だった道内の太陽光(非住宅)設備容量は、18年度に約60倍に当たる136万7000㌔㍗まで急増した。

 洋上風力発電の本格化も見込まれる。安定して風力を得られるほか、騒音など人的リスクが比較的低く、設置場所を確保しやすいメリットを持つ。法整備も進み、全国で建設計画が立ち上がっている。

 道内では石狩湾が注目され、国の促進区域決定前にもかかわらず次々と事業者が名乗りを上げている。石狩湾沖で洋上風力発電所新築を計画する企業の担当者は「コストが低い着床式の発電機設置を考えれば、風況が良好で遠浅な地形の石狩湾はまさに適地」と指摘。別の企業の担当者は「搬入などの拠点となる石狩湾新港の存在も大きい」と述べ、評価している。

 16年4月には、電力小売り全面自由化が始まった。北電と新規参入小売電気事業者との間に、震災前にはなかった厳しい競争が生じている。

 道内でいち早く電力事業に参入した北海道ガスは100億円を投じ、石狩新港にガス発電所建設を決めた。エゾデンを代理店とするF―Powerも釧路の石炭ガス発電設備建設に出資するなど、それぞれ電源確保に動いた。いずれの企業も北電よりも安価な料金設定を提案。ポイント付与や自社が持つ既存サービスとセット販売するなど、これまでにない営業活動を展開した。

 北電も家庭向け電力料金に応じてポイントがたまる「エネとくポイントプラン」創設など、この動きに対抗した。
 震災から10年を経て、実際に稼働している原発は全国で60基中5基(15日時点)がある。泊発電所については、13年7月から始まった新規制基準適合性審査が続き、再稼働のめどが立っていない。

 火力発電所の依存度が高まる一方、国は、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現を打ち出した。今後、脱炭素化に向けて再エネ普及の本格化が予想される。

 北電は、二酸化炭素を排出しない電源として泊発電所の早期再稼働や、30年度までに再エネの導入を国内外で30万㌔㍗以上拡大する目標を掲げている。

 電力の供給を維持するためには、バランスの取れた電源構成の構築が急務。本道には太陽光や風力、バイオマス、地熱といった多様な資源が豊富にある。将来にわたって持続可能なエネルギーの選択が必要だ。

(北海道建設新聞2021年3月16日付1面より)


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