アールアンドイーとエルスがシステム開発
アールアンドイー(本社・登別)とエルス(同・千歳)は、ウェブカメラと画像処理技術を用いて融雪機器を効率よく制御するシステム「SMC―H(スマック)」を共同開発した。路面の積雪状況を高精度で判断。エネルギーロスの削減につながる。今夏にも提供を開始したい考えだ。
アールアンドイーは、廃熱を利用した融雪システム「REメルト」を提案している。透水性に優れたコンクリート舗装材「ドライウェイ」の下に穴の開いたパイプを敷設。廃熱で暖められた空気を送風機で送り込んでパイプの穴から放出し、ドライウェイの隙間を通して効率的に雪を溶かす仕組みだ。電気や化石燃料を利用した融雪システムと比べて消費エネルギーを削減できるほか、環境に優しい。
送風機を動かすのに電力を必要とするREメルトのほか、温水や電気熱源などを用いた一般的なロードヒーティングにも対応できる降雪を高精度に検知して融雪機器を効率的に動かす仕組みが求められるのではないかと考えた。
従来の電極式降雪センサーは、晴れでも風で飛ばされた雪がセンサーに付着し、誤作動が出てしまう場合がある。中央監視システムは判断を人が担うため精度が高いが、コストがかかる。
ソフトウエア開発のエルスとタッグを組み、安価で導入しやすく、かつ高精度な降雪判定の仕組み構築を実現。降雪センサー代わりにウェブカメラを用いて路面をリアルタイムで撮影するとともに画像処理で降雪状況を判断し、状況に合わせて融雪機器のオン・オフを自動制御するシステム「SMC―H(スマック)」と名付けた。
指定したエリアにどのくらい雪が積もっているかを画像処理で高精度判定。融雪機器のオンオフを自動で実施するため、エネルギーロスを抑えられる。ユーザーはタブレットで降雪状況を確認でき、オンオフの強制操作も可能だ。
住宅などで実証試験をしている。アールアンドイー技術士事務所の米田直司所長は「電極式降雪センサーだと雨にぬれたら乾くまでスイッチが入っているが、SMC―Hは路面の状態をシステムが判断し、雪がないとスイッチが入らない。3月など雪解けの時期は特に良い」と話す。
システム全体の価格は30万―40万円程度を想定。まずは商業・公共施設での普及を目標に掲げる。エルスの立蔵祐樹さんは「2社の中小企業で開発した。寒冷地北海道の地域的問題を解決していけたら」とPRしている。
(北海道建設新聞2021年3月19日付3面より)