事業者がリフト更新や宿泊施設併設など
札幌市は、スノーリゾートシティSAPPORO推進戦略の素案をまとめた。市内スキー場事業者は施設・設備整備、改修やアクセス性向上に取り組み、市は施設整備に関する補助や規制緩和などを検討する。また、観光地域づくり法人(DMO)への登録も含め組織体制などを模索する方針だ。今後実施するパブリックコメントを経て、夏ごろの策定を目指す。
19日に市内で開いた検討委員会で市が示した。スノーリゾートとしてのブランド化に向け、市内スキー場、行政、関係団体などが一体となって取り組むための指針。計画期間は2021―30年度の10年間とした。
基本方針には、観光客の多様なニーズに対応できるスキー場へのレベルアップ、満足度を高めるストレスフリーなサービス・インフラの提供、道内スノーリゾートとの広域連携促進など6項目を掲げた。
19年度に進めた市の調査によると、市内6スキー場にあるリフト・ゴンドラの6割以上が築30年以上となるなど老朽化が進行している。
戦略案では、スキー場事業者が主体となり老朽化したリフト・ロッジの更新を図るほか、スキー合宿に便利な宿泊施設併設など施設・設備の機能向上を推進する方針を示した。加えて、新たなコース増設や既存コース改良なども盛り込んでいる。
一方、市は市内スキー場が都市計画法や森林法などで施設整備の制限を受けることから、良好な自然環境の保全を前提とした規制緩和を検討。補助制度の整備も念頭に今後、議論を深める考えだ。また、来訪者の満足度を高めるため、スキー場や宿泊施設などへのアクセス性向上や、道内にある各スノーリゾートとの広域連携にも取り組む。
当面は、市内6スキー場や市、関係団体などで構成する任意団体・スノーリゾートシティSAPPORO推進協議会が推進組織の役割を担うが、連携を強化し主体的に事業に取り組むため、法人格を有する新たな推進組織の設立も検討。DMOの登録を視野に入れながら協議していく方針だ。
(北海道建設新聞2021年3月22日付16面より)