道内地価が5年連続上昇 21年1月1日時点の地価公示

2021年03月25日 10時00分

BP開業見据え北広島が上位 コロナ禍で伸び率鈍化も

全国9位の上昇率を記録した北広島市の商業地。
ボールパーク整備への期待感などが反映された

 国土交通省は23日、2021年1月1日時点の地価公示を発表した。道内の平均変動率は全用途でプラス1.2%、5年連続の上昇となった。住宅地、商業地ともに前年を上回る上昇率で、全国平均も上回った。札幌市内の住宅地や商業地は上昇傾向が続いているものの、道内全体の商業地は新型コロナウイルスの影響でインバウンド観光客が減少し、ホテル・店舗・オフィス需要が高い地域の不動産取り引きが減少したことで上昇率が鈍化。住宅地は低金利政策の継続で需要を維持するが、物件契約や内覧ができない期間があり、前年を下回る伸び率となった。上昇率の全国1位は、住宅地、商業地ともに4年連続で倶知安町内の調査地点。北広島市は北海道日本ハムファイターズのボールパーク(BP)開業を見据え、住宅地と商業地ともに上位を占めた。(12―14面に一覧、4、17、18、19、20面に関連記事)

 21年の道内調査地点(標準地)は、99市町を対象に1367地点で調査。平均変動率はプラス1.2%で、全国平均はマイナス0.5%だった。用途別の平均変動率は、住宅地がプラス1.5%、商業地はプラス0.6%、工業地がプラス1%と、いずれも上昇し、商業地は6年連続、住宅地と工業地は3年連続でアップした。

 商業地の前年からの継続標準地は362地点で、このうち168地点において地価が上昇した。上昇率トップは、倶知安町南1条西1丁目40の1ほかのプラス21%と4年連続で全国1位となっている。北海道新幹線や高速道路延伸などのインフラ整備に加え、ホテル従業員向け宿泊施設としての引き合いで需要が高い。外国人観光客は激減しているが、アジア系投資家の取得意欲が強い状態が続いている。

 2位は北広島市栄町1丁目1の3のプラス12%で、前年60位から急上昇した。北海道日本ハムファイターズのBP開業を見据えた再開発計画が具現化しつつあり、シャトルバス発着場などが整備されることから、事業用地としての需要が期待されている。3位は札幌市厚別区厚別中央2条5丁目2の8ほかで変動率はプラス9.4%だった。同地点は新さっぽろ周辺地区の再開発が影響している。

 商業地の変動率は、札幌市がプラス2.9%と8年連続で上昇したものの、新型コロナウイルスの影響で上昇幅は大幅に縮小。日本ハムのBP整備が進む北広島市はプラス10.7%、千歳市が5.2%、恵庭市が4.4%、江別市が2.4%と石狩管内の市は前年を上回る上昇率となっている。函館市と旭川市、釧路市の商業地は観光客の減少などで3市ともに4年ぶりの下落となった。

 商業地の道内最高価格は、札幌市中央区北4条西4丁目1の7ほかで1m²当たり535万円。変動率はプラス4.9%だった。上位10地点に入ったのは、札幌市中央区または北区のうちJR札幌駅北口付近となる。

 住宅地は継続標準地941地点のうち、半数を超える424地点が上昇した。中でも札幌市内は全306地点の9割近い273地点で前年を上回った。

 上昇率1位は倶知安町山田83の29のプラス25%で全国でも1位だった。1m²当たりの価格は13万5000円。市街地から離れたリゾート地で外国人による別荘用地として需要が高い。

 2位は北広島市共栄町1丁目10の3のプラス17.7%で、23年にBP開業が予定されるため、雇用増加とそれに伴う定住人口の増加が見込まれる。全国6位までは倶知安町と北広島市が占める。

 住宅地の変動率は、江別市が5.1%と3年連続で上昇。野幌地区の利便性向上などが影響した。札幌市はプラス4.3%と8年連続、帯広市はプラス4.1%と4年連続で上昇した。

 住宅地の最高価格は、前年と同じく札幌市中央区南1条西26丁目185の5で、1m²当たり61万3000円となった。上位10地点は全て札幌市内となっている。

 一方、下落したのは住宅地が316地点で昨年より23地点増加、商業地は130地点で32地点増加。下落率が最も大きいのは、住宅地が岩見沢市栗沢町最上2の22でマイナス7.5%、商業地が夕張市本町2丁目217でマイナス7.9%だった。旧産炭地を中心にどちらも人口減少や高齢化率増加などで地域経済の衰退を背景に、土地需要が低下したことが理由となっている。

(北海道建設新聞2021年3月24日付1面より)

 北海道建設新聞2021年3月24日付に関連記事が掲載されています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナーをご覧ください。


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