大成建設と会沢高圧コンクリートが共同取得
大成建設と会沢高圧コンクリート(本社・苫小牧)札幌白石工場は、設計基準強度100N(ニュートン、1平方㍉当たり)の高強度コンクリートで国土交通大臣認定を共同取得した。北8西1地区第1種市街地再開発事業の複合ビルで使われ、22日に最初の打設を終えた。道内で100Nのコンクリートが打設される現場は初めて。建物の超高層化や大スパン化が進む中、今後の採用拡大が注目される。
強度100Nは、1平方㍉の面積に約10㌔の物体が載っても耐えられる強さ。1m四方のスペースに、体重100㌔の人が10万人乗っても大丈夫な超強靱なコンクリートだ。
大臣認定を取得したのは、設計基準強度70―100Nの高強度コンクリート。スランプフローは45―65cm、空気量2.0%、粗骨材は砕石2005(安山岩)。性能評価は日本建築総合試験所がした。
2018年11月から準備を始め、最初は室内小型ミキサーで実験した。翌年は1月の冬期、5月の標準期、7月の夏期で実大実験を進めた。20年12月25日に認定を取得した。
太平洋セメントと三谷商事札幌支店、クワザワが協力。混和剤はポゾリスソリューションズ社の製品を使用した。
当初は、高強度用の混和材や高性能AE減水剤、爆裂防止繊維、粗骨材など材料の選定や手配に苦労したという。粘性が高いため、練り混ぜ方法も工夫した。プラントミキサーの負担軽減と効率化を考慮したところ、通常の高強度コンクリートより2分ほど長い、3分30秒で練り混ぜることにした。
通常、ミキサー車には生コン1台分を連続して練り混ぜて積むが、今回は1バッチ(練り混ぜ1工程)ごと性状を確認しながら積んだ。100Nはスランプフローをコントロールするのが難しく、1バッチごと調整しながら慎重に出荷するようにした。
道内で100Nの大臣認定を取得した生コン工場は数件あるが、現場に採用されるケースは今回が初めてだ。
22日、札幌白石工場で練られた生コンが午前8時ごろに到着し、受け入れ検査の後、用意された柱の型枠に流し込んだ。ミキサー車5台を投入し、1階部分の柱向けに使った。2回目の打設は4月を予定する。
現場を担う大成建設・伊藤組土建・スターツCAM共同企業体の島津幸二作業所長は「従来の70Nや80Nのコンクリートだと、1階部分の柱構造体の寸法は135cmほどになってしまう。100Nを使えば110cmほどに抑えられ、設計面では意匠性に寄与し、顧客にとって居住空間を広く取れる利点がある。建物の超高層化が進めば、高強度コンクリートはいろいろな人にメリットのある材料になると思う」と話している。
(北海道建設新聞2021年3月29日付3面より)